舶来万年筆で細字を追求する (その2)
(その1)の続きです。
(2)渋めのインクを使う
同じ万年筆を使っていても、使うインクによって字幅はかなり異なってきます。パイロットのようなインクフローのとても良いインクを使うと、字幅はどうしても太くなりがちです。それに対して、例えばLAMYのブルーブラックのような渋いインクを使えば、ペン先のイリジウムが大きい舶来万年筆でも、細めの線が書けます。
もちろん、この方法にも限界があります。国産のEF並の線が書きたい、という場合は、さすがに国産ニブの出番になります。
余談ですが、渋めのインクを使うと、イリジウムの大きさの差が字幅の差に出にくくなります。たとえば、フローの良いインクを使ったときに、FとMで字幅に2倍の差が出る、という場合でも、渋めのインクを使えば、その差が1.5倍ぐらいになったりします。
(3)ペン先を締めて、インクフローを抑える
これも発想としては(2)と同じです。ペン先のスリットの幅が狭ければ狭いほど、供給されるインク量が減り、結果として細い字が書けます。ルーペを覗きながら自分でペン先を締めるか、あるいはペンクリニックでやってもらうと良いでしょう。
ただ、(2)にも言えることですが、インクフローを悪くするわけですから、ドクドクとインクが供給される筆記感が好き、という人には向きません。実際私も、インクフローは潤沢なのが好みです。ですから、私はこの対策はとりません。
(4)インクを吸い込みにくい紙に替える
これは(2)と同じような理由です。インクが染み込みやすい紙に書くと、どうしても字幅は太くなりがちです。できるだけ、インクの吸い込みにくい紙を選ぶことで、細く書くことが出来ます。
また、その逆に、インク自体を替えて、紙に染み込みにくいインクにすることでも同様の効果が得られます。とはいえ、書く紙を選んでいられない状況も多いのが現実ではありますが。
(5)ペン先を細く研ぐ
これはある意味禁断の方法です。ペン先を国産ニブに換える改造もそれなりに敷居は高く、失敗したときの代償もありますが、これはそれ以上にリスクのある方法です。なにせ、失敗したら、ニブが完全にダメになってしまいますから。
細字の万年筆にこだわってきた私も、研ぎにも挑戦してきました。最初の頃は、長刀型にしてしまったりといった失敗もありましたが、それなりの細字を仕上げられるようにはなりました。
ただ結局の所、いくらトライしても、国産万年筆のデフォルトの細字の書き味を実現するのは困難という結論に達しました。(修行が足りないだけかもしれませんが、本数にも限りがありますし。)ペン先研ぎの実践については、フルハルターや、他の有名ブログの方が詳しいですし、そちらを参考にされると良いでしょう。
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