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セーラー 「鉄刀木(たがやさん)」 のレビュー

 セーラーの銘木シリーズ、鉄刀木(たがやさん)のFニブです。

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(1)作りの良さ

 この万年筆を手に取ってみてまず感じることは、作りがしっかりしているということです。万年筆は基本的に数万円するものですが、中には軸の内側の作りや仕上げが雑だったり、クリップがぐらつくものなど、品質的に疑問が残るものもあるのが事実です。それに比べてこの万年筆は、どこを取ってみても仕上げが良く、価格に似合わぬ品質があると思います。

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 その背景には、この銘木シリーズが、セーラーの蒔絵万年筆のベースとなっている、ということがあります。私にはとても十万を超えるような蒔絵万年筆は買えませんが、この万年筆なら、高級万年筆の感触の一端を味わえる…かも?

(2)嵌合式

 キャップはネジ式ではなくて嵌合式です。カチッと音がして止まるタイプですが、そのタイプの中では、感触が良い方だと思います。徐々に圧力がかかってカチッとはまる感じです。

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(3)ペン先、書き味

396  ペン先は爪ニブで、インレイ方式となってます。

 写真を見ても分かるように、ペン先のしなりはほとんどないガチニブです。ニブ正面はほとんど平らで、ペン先はペン芯からほんの少ししか突き出ていません。

 こうしたタイプによく見られるように、ある意味万年筆らしくない書き味です。水性ボールペン的な筆記感です。カレンやヴァーブの書き味に近い印象があります。こういう書き味の方が万人向けで書きやすい、という意味合いもありますが、万年筆らしい書き味を求める人には向かないかもしれません。

(4)初期の問題点

 私が購入した個体は、買ってすぐは書いている内にインクが途切れる、という症状がしばしばみられました。1~2週間ほど使ったところ、そういう症状はなくなりました。舶来万年筆ではしばしば見られることですが、国産でそういう症状が見られたのはちょっと意外でした。

(5)木軸

 この万年筆は木軸ですが、同じ木軸であるカエデやプライヤー、レグノ89sなどどはだいぶ趣が違います。

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 カエデなどは、触った時に木の手触りがあり、水につければ、ある程度は水を吸収します。それに対し鉄刀木は、材質は何か分かりませんが、しっかりコーティングされていて、木の手触りはありません。ですから、木の手触り重視の人は、カエデなどの他の万年筆を買った方が良いでしょう。

(6)外観

 外見のフォルムは直線的で、独特の形をしています。国産万年筆のバランス型に飽きた人なら、この銘木シリーズを検討してみる価値はあるでしょう。

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(7)総評

 この鉄刀木は、木軸万年筆ですが、木軸らしくない万年筆でもあります。価格らしくない品質の良さが満足感を与えてくれる万年筆だと思います。

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※スペック一覧

・重さ 全体:30g キャップ:12.5g キャップなし:17.5g
・長さ 全長:14cm キャップなし:12.1cm 後尾にキャップ:15.6cm
・太さ 首軸最小径:9mm 首軸最大径:10mm 胴軸最大径:12mm 胴軸最小径:8mm キャップ先端:12mm キャップ後端:9mm

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