「DAKS ハウスチェック クロス」のレビュー
DAKS 「ハウスチェック クロス 万年筆」、Fニブです。
この万年筆のシリーズは、DAKSブランドとして展開されていますが、製作しているのはセーラーです。セーラー万年筆の公式サイトにもこの万年筆がラインナップされていますから、セーラーの万年筆と言っていいでしょう。
(1)外観
この万年筆の最大の特徴は、胴軸とキャップに布が巻かれていることです。布故の独特の手触りと暖かみが、この万年筆を他の万年筆と異なる存在としています。デザインはDAKSの伝統的なハウスチェック柄で、飽きのこない良さがあると思います。
(2)ペン先、書き味
ニブは小さく、若干の弾力があるニブです。少しカリカリした書き味です。インクフローは良い方だと思います。
この万年筆は細軸で、プラチナの14kスタンダードに近いぐらいの細さです。細軸好きの人にはお勧めできます。私は最近になって細軸好きになっていますので、この万年筆をよく使います。
軸は真鍮製ですが、かなり軽めに作られていて扱いやすいです。
公式サイトには、「ファッション性を重視したデザインのため、キャップを外して筆記するようにバランスされています。」と書かれていますが、キャップをつけても問題なく書けると思います。もっとも、キャップを尻軸につけると、キャップ内のインクが軸に付着する恐れがありますから、キャップを外して筆記した方が良いでしょう。
なお、セーラーのコンバータが使えます。
(3)問題点
この万年筆の最大の問題点は経年劣化です。布巻きであるが故に、時間が経つにつれてどうしても汚れが目立つようになってくるのです。
普通の万年筆なら、インクが付くなどして汚れれば水で丸洗いできますし、傷が付いたとしても布や研磨剤などで磨くことが出来ます。しかし、布では簡単に洗うという訳にもいきません。万年筆は、十年以上など長期にわたって使うことが多いものですから、耐久性はあまり高くないと言えます。
(4)キャップ
キャップは嵌合式です。同じ嵌合式のソネットにも見られるように、首軸先端部の金属部品がインクで汚れがちですから、先端部を持つ筆記スタイルの人は注意が必要です。
また、キャップの洗浄には気をつけましょう。私はキャップ内部に付いたインク汚れを落とすとき、キャップ内部を流水ですすいで綺麗にすることがあります。この万年筆でもそれをした所、キャップの外側の布地にインク汚れがじわりと浮き出てしまいました。
どうやら、キャップ内部の見えない所に隙間が空いており、中のインク混じりの水が隙間から外に染み出してしまい、布地を汚してしまったようです。
(※分かりにくいかもしれませんが、使っていた赤系インクの汚れが付いています。)
前述の理由で、一度インクで汚れてしまった布地を綺麗にするのは困難ですから、キャップ内部を清掃する場合は、水で濡らした綿棒などでインク汚れを落とすようにした方が良いです。
(5)総評
DAKSブランド特有のハウスチェック柄と布巻きの暖かみが特徴の万年筆です。ファッション性を重視する人、軽めの細軸が好みの人にお勧めできる万年筆だと思います。
ただ、経年劣化の問題は避けられません。長期にわたる使用や乱雑な使用には向かない万年筆だと思います。その点が気にならなければ、国産万年筆らしからぬデザインの魅力がある万年筆だと思います。
※備考
姉妹品(?)として、マンハッタナーズ 革巻き万年筆があります。おそらく、同じ金型を使って作られた万年筆だと思います。こちらはペン先が14Kではなくステンレスです。猫柄が好きという人、経年劣化が気になるから革巻きの方がいい、という人は、こちらを購入されると良いでしょう。
※スペック一覧
・重さ 全体:25.5g キャップ:11.5g キャップなし:14g
・長さ 全長:13.2cm キャップなし:12.3cm 後尾にキャップ:16cm
・太さ 首軸最小径:7mm 首軸最大径:9mm 胴軸最大径:10mm 胴軸最小径:8mm キャップ先端:11mm キャップ先端:9.5mm
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