「プラチナ プレジデント」のレビュー
プラチナのプレジデント、Fニブです。
(1)外観
プレジデントは太めの万年筆です。同じ国産2万円台のプロフィット21やカスタム742と比較した場合、プレジデントはプロフィット21と同じく、中央部がふくらんでいる樽型タイプです。それに比べると、カスタム742は円柱形タイプです。
首軸部もそれなりに太めですから、人によっては持ちにくいという印象を持つかもしれません。その代わり、太め故に押し出しが良く、存在感があります。
(2)書き味・ペン先
プラチナらしく、ニブは固めです。ギャザードや#3776と比べても、ニブの穂先が短く、湾曲率も高めですから、ギャザードなどに見られるような縦のしなりはありません。コリコリとした書き味で、筆圧の高い人に向いているでしょう。
ちょっと癖のある書き味と言えなくもありません。好き嫌いが分かれるニブですので、購入前に試筆した方がいいと思います。
プラチナはよく細字番長と言われますが、その名の通り、細字の書き味は絶品だと思います。イリジウムの研ぎ方は素直ですし、抑えめのインクフローも、細字を書く場合は漢字の止めや払いを書きやすいという特徴につながり、プラスの要素といえます。プラチナのシャキシャキした書き味は、細字好きならば一度は経験しておくべきものだと思います。
(3)装飾・筆記バランス
#3776バランスはキャップのリングも単純で安っぽいイメージがありますが、プレジデントは二重リングで高級感があります。ニブの刻印デザインも凝っていて私は好きです。ただ、細かな仕上げなどを見ると、パイロットやセーラーには少し劣る印象があります。(※追記:#3776センチュリーの発売で、安っぽさについては解消されました。)
首軸先端に金属リングがあるのは、腐食のことを考えると少しマイナスでしょうか。軸は軽く、大量筆記は可能です。筆記バランスはよいと思います。私は後ろにキャップをつけないで使っています。
(4)コンバータ
プラチナの万年筆でしばしば批判の対象となるのが、コンバータです。故障したり、ピストンの押し下げが固くなったりと、作りがあまりよろしくないとよく言われます。
私自身は、あまりコンバータには悪い印象は持っていません。ピストンの押し下げが固くなるのは経験しましたが、シリコンスプレーをひと吹きすれば問題ないですし。ただ、コンバータへの不評はそれなりにあちこちで耳にしますから、一応気にとめておいた方が良いでしょう。まあ、いざとなれば買い替えれば済むことですから、個人的にはあまり問題だとは思ってません。
(5)総評
プレジデントは、一般の人が万年筆としてイメージするタイプの万年筆です。黒軸バランス型の、太軸の万年筆が欲しいという人にお勧めです。
細字好きの人なら、プラチナの細字はぜひ経験しておくべきだと私は思います。ただ#3776ニブとプレジデントニブはかなり性格が異なります。購入前に試筆をして、どちらが自分に合っているのか試されることをお勧めします。どちらかと言えば一般向けなのは#3776ニブの方でしょうか。
※スペック一覧
・重さ 全体:25g キャップ:10g キャップなし:15g
・長さ 全長:14.3cm キャップなし:12.3cm 後尾にキャップ:15.7cm
・太さ 首軸最小径:10mm 首軸最大径:11.5mm 胴軸最大径:13mm 胴軸最小径:8mm キャップ先端:15mm キャップ後端:8mm
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コメント
初めまして『プチおたく』と申します。
今回の記事、大変面白く、また参考にもなりましたので
思い切ってコメントさせて頂きます。
どうも万年筆と言えば「太字が本道」みたいな風潮があって
「細字好み」の私としては「なぜ細字の記事が少ない」のかと
不満に思っておりました。
今回の記事も「次回購入予定のプラチナ」に関して
「中字が良いのか?細字が良いのか?」
と迷っていた所、まさに光明が射したような感じです。
これからも「細字に拘り続けて」下さいまし。
投稿: プチおたく | 2008年7月24日 (木) 09時53分
コメントありがとうございます。
『プチおたく』さんも細字好きですか。確かにネットでは細字好きはあまり目立ちませんね。(^^; 同じ趣向を持つ仲間の存在は心強い限りです。
万年筆は低筆圧で綺麗な字を書きやすいという特徴がありますが、プラチナは引き締まった字が書ける万年筆でいいですよね。インクフローの良いパイロットとは別の方向性の良さがあります。国産三社の細字の書き味はどれも異なっていて、細字好きとしてはいろいろな書き味が楽しめるので有り難いものです。
私はプレジデント、ギャザード、銀無垢、14kスタンダードの4本を持っていますが、どれもお気に入りです。あえて言うなら、ギャザードが一番好みです。ただ、あの独特の外見はかなり好みが分かれるみたいですが。(汗)
読者の応援は励みになります。これからもよろしくお願いします。
投稿: もきゅすけ(管理人) | 2008年7月24日 (木) 12時11分
プラチナはなかなか縁がなくて、大昔のシープから増えて
いません(^^;
自分は細美~ミュージック・ズームまで一通り好きです(^^;
とゆーのも、TPOによって使い分けが必要になるから
ですね。
手帳に書くのにはEFが中心になって、メモ程度はMかB
宛名はズームとか(^^;
ま、増えてしまうのもメーカーや太さによって書き味が
全然違うからですね。
これからもますます増えていくと思います(゚゚ )☆\ぽか
投稿: ZEAK | 2008年7月24日 (木) 17時33分
ZEAKさん、こんにんちは。
太字好きだと、ズームとかミュージックとか、そういういろいろなニブを楽しめるというメリットはありますね。
私の場合、複雑な漢字を書いたときに文字がつぶれるのがどうしても好きになれなくて、細字一辺倒になっちゃいました。
デメリットはやはり購入の選択肢が少なくなることです。舶来万年筆のEFでも太いと感じるので、舶来万年筆の購入に心理的ブレーキがどうしてもかかるんですよね。
もっとも、最近になって改造をやり出してからは、ブレーキがかからなくなってきつつあるので、財布のためにはブレーキがあった方が良かったかも、です。(汗)
投稿: もきゅすけ(管理人) | 2008年7月25日 (金) 01時13分
こんにちは。 楽しく拝見させていただきました。私も細字一辺倒です。日本語の漢字仮名交じり文の筆記には、細字以外は実用に堪えません。特に漢字を楷書する場合は絶対ですね。
勿論趣味でペンをコレクターズアイテムとしてとか、おもちゃにするならば、なんでもありですけどね。
細字ニブで楷書で書かれた小股の切れ上がった漢字は見ていて気分爽快です。
投稿: 龍の尻尾 | 2015年6月 4日 (木) 16時48分
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