「PARKER ソネット クロコダイル ヴァーメイル」のレビュー
パーカー ソネットの限定品、「クロコダイル ヴァーメイル」、Mニブです。
私はシルバー軸が好きで、スターリングシルバーの万年筆を多く買ってます。そうした中、ふとヴァーメイルの万年筆も欲しくなりまして、それでこの万年筆を購入しました。
これでソネットは2本目です。レビューとしては、「ソネット オーシャンブルーST」と被るところがあります。ですから、被る点は省略し、異なる点を中心にレビューをしていきたいと思います。
→「PARKER ソネット オーシャンブルーST」のレビュー
(1)外観
"クロコダイル"の名前の通り、ワニ皮をイメージしたようなデザインで、スクウェアの形に溝が掘られています。ヴァーメイルというのは、スターリングシルバーの下地にゴールドプレートを施した加工のことを指します。この万年筆の場合、全面に金メッキが施されているわけではなく、溝の部分はスターリングシルバーの下地が出ていて、それが良いアクセントになっています。
(2)ペン先、書き味
ニブは18Kのバイカラーニブで、ヴァーメイルと調和が取れています。
最近のソネットの流れと同じく、このペン先もガチニブです。こういう限定品の特別仕様の場合、ペン先はマニア向けに柔らかい仕様にする、という事例が時折見られますが、この万年筆の場合はそうなってません。私はガチニブ好きなので歓迎です。
(3)軸バランス
ヴァーメイル仕様だけあって、ソネットオーシャンブルーに比べて、重めの万年筆です。
首軸の前の方を持つ人の場合、キャップをつけると少しリアヘビーに感じるかもしれません。私の場合、キャップをつけずに書いて、バランス良く書けてます。万年筆としては比較的、細めの軸を持ちます。
(4)シルバー部分の手入れ
"ソネット オーシャンブルー"と同じく、インク付着問題とキャップの穴問題があります。それらについては、オーシャンブルーのレビューを参考にしてください。
このクロコダイル ヴァーメイルの場合、もう一つ別の問題があります。それは、シルバーの硫化問題です。ご存じのように、シルバーは放っておくと硫化して、どんどん黒ずんでいきます。それ故、頻繁に使って硫化膜が形成されないようにするか、あるいは銀磨きクロスなどで磨くなどする必要があります。
私が持つ他のシルバー万年筆も、必要に応じて銀磨きクロスで磨いてきました。しかしこのクロコダイル ヴァーメイルの場合、銀磨きクロスで磨くというわけにはいきません。すでに述べましたように、この万年筆では、溝の部分がシルバーというデザインになってます。ですから、黒くなるのも細い溝の部分な訳です。この溝の部分だけを銀磨きクロスで磨くのはとても困難です。下手に磨こうとすると、金メッキの部分を削ってしまうことになりかねません。
ということで、溝の部分の黒ずみに悩んだ結果、液体タイプのシルバークリーナーを購入して対処することになりました。そうした手間がかかることには注意が必要です。
(5)コストパフォーマンス
ヴァーメイルの万年筆は比較的高価な場合が多いですが、この万年筆は4万円と、まずまずの価格です。低価格でヴァーメイルの万年筆が欲しいという人には向いています。
ただ、ソネットはパーカーの低価格商品という位置づけですから、ブランドイメージ的には微妙なものがあるかもしれません。
(6)総評
比較的低価格でヴァーメイルの万年筆が欲しいという人に向いた万年筆だと思います。装飾に力点が置かれた万年筆にしては小ぶりですから、持ち歩いて使うのにも合ってます。
黒ずみ対策は面倒ですが、それはそれで手がかかるのも一つの味と言えなくもありません。ソネットはペン先の乾燥問題を含め、微妙と言える部分は多いですが、嵌合式で細軸のソネットは、さっと取り出して使う用途ではやはり便利です。
※スペック一覧
・重さ 全体:30.5g キャップ:12g キャップなし:18.5g 首軸:4.5g
・長さ 全長:13.2cm キャップなし:12.3cm 後尾にキャップ:14.5cm
・太さ 首軸最小径:9mm 首軸最大径:10mm 胴軸先端:10.70mm 胴軸後端:8.7mm キャップ先端:12mm キャップ後端:9mm
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コメント
コレは溝の部分が黒ずむのを計算しているのかも知れませんね。
金にいぶされたような銀溝ってのも悪くないかと。
コレもペンジにしちゃったの~( ̄▽ ̄;)
ソ、ソネットなら鉄ペンのついた軸が…
投稿: どーむ | 2008年9月26日 (金) 00時28分
どーむさん、こんにちは。
いぶしも悪くはないんですが、個人的印象では、バーメイル+いぶしというのは、あまり美しくない感じです。スターリングシルバーにいぶしはアクセントになって美しいとは思うんですけどね。
ペンジ化は仕方がないっす。だって、このクロコダイル ヴァーメイルにはM字しかないですから。ソネットのXFですら太いと感じる細字原理主義者の私には、M字は未知の領域すぎます。(^^;
でも一応、ソネットのペンジ化は、首軸を削るなどの加工は一切してませんから、いつでも元には戻せます。実際、この記事を書くために、ニブを一時的に元に戻しましたし。そうした意味では、削るタイプよりはオリジナルに優しい改造ではあります。
投稿: もきゅすけ | 2008年9月26日 (金) 13時38分