シルバー軸の万年筆をいぶす方法
前回の記事で、銀軸のパイロット「カスタム748」のいぶしについて書きましたが、今回の記事では、その手順について簡単にまとめておきます。説明にあたって、新たにいぶすシルバー万年筆の用意です。今回は、グリフォスの「NYLOE 925 F-G11」をいぶしてみます。
▼いぶし液について
まず必要なのはいぶし液です。いぶし銀の黒ずみとは、硫化作用によって形成された被膜ですから、いぶし液は基本的には硫黄が主成分です。いぶし液は硫黄だけにそれなりのにおいがしますから、作業は洗面所などで行った方がいいでしょう。
いぶし液は東急ハンズや、ハンドクラフトのシルバーアクセサリーを扱っている専門店などで手に入ります。専用のいぶし液を使わず、硫黄系の入浴剤である六一〇ハップを使うという手も昔は一般的でしたが、六一〇ハップは例の件で生産終了になりましたので、今は専門のいぶし液を使うしかありません。
▼銀をいぶす手順
銀をいぶす前に、しっかり脱脂を行っておくことが大切です。台所にある中性洗剤や重曹で洗うなどすればいいでしょう。脱脂が中途半端だと、いぶしにムラが出来てしまいます。(※実は、カスタム748を最初にいぶしたときは、その問題が生じてしまいました。)

脱脂をした後はしっかり乾燥させ、いぶし液をつけます。専用のカップを用意しておくと良いでしょう。
いぶし液によって、原液をそのまま使う場合と、薄めて使う場合との二種類があります。で、実は私が持っているいぶし液は薄めて使うのかそのまま使うのか、不明でした。ただ薄めて使う方が普通のようでしたので、薄めました。
薄めて使う場合は、70~80℃程度の熱湯でいぶし液を薄めて使うことで、効果的にいぶせます。部分的にいぶしたいときは、筆を使っていぶし液を塗ればいいですし、全体をいぶしたいときは、いぶし液に全体を漬けてしまいましょう。
いぶし終わって真っ黒になってますね。写真を撮るために十分に時間をかけて漬けなかったために、まだらになってしまいました。黒ずみが定着するまで、下手に触らない方がいいかもです。
▼シルバークロスで磨く
いぶし終われば、後は自分の好みに応じて、銀磨き布などで磨きましょう。その時、手に銀磨きクロスを持って磨くと、思った以上にいぶしが取れることがあります。そうした場合は、銀磨きクロスを机など平らな面に置き、万年筆の方を動かして磨くと、出っ張った部分のいぶしだけがとれて、うまくいきやすいです。どこまでいぶしを取るかは、磨きながら考えると良いでしょう。
なお注意点ですが、いぶし作業を行った後、数日間は硫黄成分が気化を続けるそうです。ですから、いぶした万年筆の近くに銀軸万年筆を置いておくと、それもいぶされてしまう恐れがあります。というわけで、いぶした後は、ある程度の期間は隔離しておいた方が無難です。
▼難しい…

というわけで、シルバーのいぶし方を説明するために、今回はグリフォスの万年筆をいぶしたわけですが、いぶしの難しさにめげそうです。(^^; 前回カスタム748をいぶしたのは数年前ですから、その難しさをすっかり忘れてました。前回も、何度かいぶしをやり直して、ようやく上手くいったんですよね。
あと、いぶす万年筆の選択も誤ったかもしれません。この万年筆は凹みの部分が浅くて、その部分だけ黒ずみを残そうとしても、黒ずみを取れてしまいやすいんですよね。いぶしやすい柄、いぶしの似合う柄、という違いが、万年筆ごとにありそうです。
いずれにせよ、何度かいぶし直すなどして、じっくり取り組もうと思ってます。いぶしは難しいので、この記事を見てやろうと思った人は、安易に考えない方がいいかもしれません。まあ、いざとなったら、液体のシルバークリーナーで、全部元に戻すこともできますが。
| 固定リンク
「用具・ツール・関連小物」カテゴリの記事
- インク壺「ONIGAMA 宙<そら> by オバタ硝子工房」のレビュー(2018.04.06)
- 霧吹きは、万年筆を扱う上で用意しておくと便利(2013.10.20)
- ミニ万年筆で使える Templar の小型コンバーター(2013.07.13)
- 棚つり防止対策が組み込まれた「新型CON-50」を入手(2013.04.30)
- 紙を立てるメモスタンドを購入(2013.03.03)
この記事へのコメントは終了しました。





コメント