パイロット「カスタム745」のレビュー
パイロットの「カスタム745 ストライプ ゴールドプレート」のFニブです。
(1)プレシャスメタル
カスタム745は、ベースはカスタム742で、そのプレシャスメタル・バージョンとなります。スターリングシルバーと金厚メッキの二種類がありました。これは金厚メッキ版です。また、胴軸の模様は、ストライプとバーリィコーンの二種類がそれぞれにあります。つまり、二種類の材質、二種類の模様で、四種類のモデルが発売されていたわけです。
このカスタム745を購入するとき、すでに"バーリィコーン&シルバー"のカスタム748を持っていました。そのため、カスタム745では、柄と材質が重複しない、ストライプ柄の金厚メッキ版にしました。
※備考:写真のカスタム748は、いぶし加工済みです。
→パイロット カスタム748 を燻す(いぶす)
(2)廃番
このカスタム745を含め、パイロットはスタンダードモデルのプレシャスメタル・バージョンを発売していました。安い順から、「グランセ、カスタム745、カスタム748」です。しかし、グランセ スターリングシルバーを除いて、カスタム745とカスタム748は2007年の春頃に廃番になってしまいました。これはシルバー軸が好きな私としては、とても残念に思っています。今パイロットでシルバー軸を買うとなると、グランセかシルバーンの二つしか選択肢がありません。
パイロットには、ぜひシルバー軸の万年筆のラインナップを再び増やして欲しいですね。もし復活させるのであれば、今度はバランス型ではなく、レガンスのような円筒形を期待したい所です。
※備考
パイロットは廃番にするときに、在庫を一掃するために格安で出荷しましたので、定価の6割程度で購入できる可能性も高いです。実際、私も廃番時に748と745を格安で手に入れました。
(3)外観
全面が金厚メッキされていますから、キンキラキンでとても派手です。下手をすると趣味が悪いとさえ思われかねないほどです。かなり好みが分かれる外観だと思いますが、私は派手好きなこともあって、かなり気に入っています。黄銅に金メッキされている訳ですが、厚めにメッキされているだけに、深みのある金色をしていて、いい感じです。
また、クリップも含めすべて同色であるため、統一感があって、意外とクールな印象です。
(4)ペン先
ペン先は10号ニブで、バイカラー装飾が施されています。ガチニブで、しなりはないですね。
(※左の写真は、左がカスタム748、右がカスタム745のニブです。)
この10号ニブはバランスがとれているニブだと思います。カスタム74系の5号ニブでも十分な書き味が得られるのですが、ニブが小さめのために、見た目の押し出しに欠けます。その一方で15号ニブとなると、押し出しはあるものの、ニブが大きすぎて、筆記するときにちょっと扱いにくい意味合いがあります。その点10号ニブは、見た目と扱いやすさのバランスのとれていていい感じだと思います。
(5)軸バランス
カスタム745は、全体の重さは41gと重めです。しかしキャップを外せば25gと極端に重いわけではなく、大量筆記にも問題がない重さです。54g・33gのカスタム748と比べると、大きさの面でも重さの面でも、日常使いに合った万年筆と言えるでしょう。
(6)クリップ、リング、その他
クリップは私の大嫌いな丸玉です。ただ、クリップも軸と同じ金色であるために目立たず、他のパイロット万年筆に比べると、大きくは気にならないですね。リングは小さめで、そのこともあってスラリとした外観の印象となっています。
キャップはネジ式です。コンバータはCON-20、CON-50、CON-70のすべてが使えます。
少し気になる点としては、クリップの根本の部分に、わずかですが隙間が見られます。そのせいなのか、少しペン先が乾きやすい印象があります。
ただデュオフォールドのような、キャップに穴がある万年筆に比べれば、乾きの程度はわずかです。こういうキャップに隙間のある万年筆の場合、私はすぐに埋めてしまうことが多いのですが、これは程度が軽いこともあって、そのままにしてます。特に実用上の問題もありませんし。
(7)総評
全面が金色で、かなり好みが分かれる万年筆だとは思います。しかし所有してみると、意外とクールな印象があって、かなりお気に入りの一本です。その見た目とは裏腹に、筆記バランスも良く、実用万年筆としてバリバリ使っています。
ただ廃番になってしまったのは残念です。廃番になって数年経ちましたし、ぜひパイロットには、新しいプレシャスメタルのモデルを出して欲しい所です。
※スペック一覧
・重さ 全体:41g キャップ:16g キャップなし:25g
・長さ 全長:14.5cm キャップなし:13.2cm 後尾にキャップ:16cm
・太さ 首軸最小径:9.5mm 首軸最大径:11mm 胴軸最大径:12mm 胴軸最小径:8.5mm キャップ先端:14.5mm キャップ後端:11mm
| 固定リンク
「万年筆 / 感想・レビュー (国産)」カテゴリの記事
- セーラー 「プロフェッショナルギア スリムミニ」 のレビュー(2011.10.31)
- パイロット 「シルバーン」 のレビュー(2011.10.25)
- プラチナ 「ギャザード」 のレビュー(2011.09.19)
- プラチナ 「90周年記念 25G カーボン軸」 のレビュー(2011.08.19)
- プラチナ 「#3776 本栖」 のレビュー(2011.07.10)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
プレシャスメタル系の万年筆、というか金属軸自体が減ってきてるのが残念でならない金属軸好きのどーむです。相変わらずアメリカンブランドは金属軸が多いですが、ヨーロッパや日本のメーカーはみんな樹脂軸が多くなってきてますよね。
パイロットも上位モデルはすっかり樹脂軸に占められてしまいましたし、こういう軸は残しておいて欲しいところなんですけどね~そして745にもせっかく取り付けられるんだから特殊ペン先を設定して欲しいところです。
投稿: どーむ | 2009年1月10日 (土) 21時37分
どーむ さん、こんにちは。
金属軸はクロスやシェーファー、ウォーターマンに多いですが、どちらかと言えば、どれも実用系という感じですよね。細身でペン先も小さくて、という感じで。もうちょっと金属軸のバリエーションがあった方が嬉しいのですが。
カスタム745などは、やっぱり売れなかったんでしょうかね。ペン先が限定されているのは残念ですが、一つのモデルで四種類出している所は頑張っているなあ、とは感じられたのですが。
まあ、廃番になったおかげで、廃番時に格安で手に入れられたので、その点では良かったのかな、とも思ったり。(^^;
投稿: もきゅすけ | 2009年1月11日 (日) 07時11分