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パイロット 「キャップレス デシモ」 のレビュー

 パイロットの「キャップレスデシモ、すみれ色」のF字です。

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 私はたくさん万年筆を所有していますが、これまでキャップレスは未経験でした。特に理由があったというわけではなく、なんとなく縁がなかったのです。今回、うめだ阪急限定カラーとしてすみれ色が発売になり、その独特のカラーが気に入って、ついにキャップレスを購入するに至りました。

(1)ペン先

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 ペン先には独特の柔らかさがあります。もちろんパイロットのS系ニブのような柔らかさではありませんが、小さなペン先にしては意外な弾力が感じられます。ちょうど、レグノ89sに似た感触ですね。

 キャップレスはその構造上、外側の部分とペン先ユニット部の二重構造になっています。そして、そのペン先ユニット部自体が微妙にたわむのです。つまり、ペン先自体の柔らかさとペン先ユニット自体のたわみとが合わさって、一種独特の筆記感を生み出しているのです。

 これはなかなか興味深い書き味です。他のオープンニブの万年筆とは異なる感触で、これが味わえただけでもキャップレスを購入して良かったと思えます。

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 独自性のある書き味故に、好みも分かれるとは思いますが、私は嫌いではありません。ただ、楷書を綺麗に書くのには多少向かないでしょうか。そういう目的なら、私はプラチナのギャザードなどの#3776系ニブの方が好きです。ただ、キャップレスという万年筆の特性上、気軽に取り出して文章を書きつける、という使い方をする場合は、この独特の弾力は弱点にはならず、むしろメリットになると思います。

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(2)外観

 この万年筆は、阪急色のすみれ色です。ラメが少し入っていて、キラキラ綺麗です。クリップはペン先側についています。これは胸ポケットにさしたときに、万が一インクが漏れないようにするためのものです。もちろん、ペン先にはちゃんとシャッターがついていますから、逆向けにしても基本的にはインク漏れの心配はありません。

 胴軸からペン先側に向けてなだらかに細くなっており、持ちやすくなっています。

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(3)重さ・大きさ

 キャップレス デシモは、3種類のキャップレスの内、最も軽く、スリムな万年筆です。フェルモが回転式である一方、デシモはノック式です。ノックのストロークは多少長めですが、押しにくいといったこともなく、使いやすいです。

重さ 長さ 軸径 形式
キャップレス 29.7g 140mm φ13.4mm ノック式
デシモ 21g 139.4mm φ11.6mm ノック式
フェルモ 33.5g 139.4mm φ12.4mm 回転式

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(4)クリップ

 ペン先側のクリップは、購入前に懸念していたポイントです。クリップが指と干渉するわけですから、人によって、「このクリップは気にならない」という人もいれば、「気になって使いにくい」という人もいます。実際に購入してみると、私はまったくクリップは気にならなくて、快適に使えています。多少は気になるのでは、と思ってましたが、違和感なく使えて安心です。

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 ネットなどを見てみると、「デシモのクリップは気にならないけれど、普通のキャップレスは気になる」という書き込みや、あるいはその逆の書き込みがあるなど、好みはかなり分かれるようですね。購入する前に試筆して、クリップが自分に合うかどうか調べておいた方が無難かと思います。

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(5)持ち方

725  以前の記事にも書きましたが、私は右にひねって書く癖があります。この癖を矯正しようと試みている最中です。

 購入する時、キャップレスにはクリップがあるということで、キャップレスを使えばひねり書きの癖も治るのでは、と期待していた面があります。


 ただ、実際に使ってみると、キャップレスでもやはり、無意識のうちにひねって書いている自分を発見することがしばしばです。気がついたら、クリップの上に人差し指を乗せる持ち方で使っているのです。クリップの上面は平らなため、これもまた良い具合に書けるんですよね。自分のひねり書きに対する業の深さに自分でも驚きです。

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(6)コンバーター

 コンバーターは、CON-20とCON-50が使えます。しかしCON-50だと、インク窓がほとんど確認できません。なので、棚吊りしやすいという弱点を抱えているCON-50を使う意味はあまり感じません。なので私はCON-20をつけています。

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 相変わらずCON-20は差し込みが固かったですね。最初は入らないのかと思ったぐらいです。無理に差し込むと、今度は抜けなくなりそうでした。なので、カスタム74に何度か差し込んで、ある程度慣らしてから差し込むと、良い具合になりました。

 →パイロット CON-20 の差し込みの固さ

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(7)インク

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 キャップレスには、パイロット製インクが最適、という言葉をあちこちで聞きます。パイロット製インクは、フローが良すぎるぐらいにドバドバという特徴があります。それは裏移りしやすい、といった弱点もありますが、キャップレスにはそれが合っているみたいですね。

 先人の言葉に従って、私もパイロット製インクを使ってます。

(8)総評

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 何となく購入してこなかったキャップレスですが、いざ使ってみると、相当に便利です。

 私はデスク上でしか万年筆を使わず、ネジ式キャップもあまり面倒とは思ってきませんでした。そんな私でも、ノック一つで書き出せるのは便利だと思うのですから、持ち歩きの手帳用でしたら、かなりアドバンテージがあると言って良いでしょう。独特の書き味も面白みがあって素晴らしいです。

 胴軸のすみれ色に惹かれて購入したキャップレスデシモですが、これでキャップレスにかなり興味が出てきました。残りのノーマルタイプとフェルモも、手に入れたいと思っています。太さや重さが結構違いますので、かなり筆記感は違いそうですね。それも楽しみです。

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※スペック一覧

・重さ 全体:21g
・長さ 全長:13.9cm
・太さ 首軸先端部:7mm 胴軸中央:11.5mm 後端部:10mm

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万年筆 / 感想・レビュー (国産)」カテゴリの記事

コメント

キャップレスは金ペンと鉄ペンで結構感触違いますのでご注意ください。
私の鉄ペンキャップレスは最近あんまり登場機会が与えられておりません、久しぶりに来週使ってみるかな。

あ、5月16日にWAGNERの関西大会が神戸であります。
もしよかったら来ませんか?行ったことあったらごめんなさいですが。。。
もきゅすけさん来るなら長野から登場しちゃうよ~

投稿: どーむ | 2009年4月17日 (金) 23時46分

こんにちは。
4月4日の記事『「プロギア マーブルエボナイト」「すみれ色 キャップレス」「キティ スウィートベリー」を購入』に「物欲が刺激されます」とコメントした者です。

すみれ色キャップレス購入いたしました!

もきゅすけさんのブログでその存在が語られなければ、
今だその存在を知らず散財しなくてす……いえいえ(苦笑)。
私にとってもはじめてのキャップレス。
手にした喜びをかみしめております!!嬉しいです!

ありがとうございました。

本日の詳しいレビューもとても参考になりました。

投稿: | 2009年4月18日 (土) 01時35分

 こんにちは。

 あなたも「キャップレス すみれ色」を購入されたのですね。すみれ色仲間といったところでしょうか。キャップレス、使いやすくて良いですよね。紫系統の軸は意外と万年筆では少ないので、ありがたみもひとしおです。

 私の記事が少しでも参考になったのでしたら、書いた甲斐がありました。コメントありがとうございます。

投稿: もきゅすけ | 2009年4月18日 (土) 15時28分

 どーむ さん、こんにちは。

 鉄ペンはまた違った書き味なんですね。ガチニブだったりするのかな。それはそれで別の興味が出てきたり。(^^; 他のキャップレスを買う上で一番の問題は、現行の軸の色柄には欲しいのがない、という点なんですよね。

 WAGNERには、まだ行ったことがないですね。お誘いいただけるのは有り難いのですが、今の自分の仕事では、確実に一日の予定を開けるのが難しいので、行くのが難しいのが現状です。なので、残念ながらお断りせざるを得ません。
 6日間あった「I LOVE PEN, I LOVE LETTER.」イベントも、終わってから大阪に遠征するというトホホなことをしていたりします。WAGNERに参加すれば、私のヴィンテージ音痴も多少は治りそうではあるのですけれど。(^^;

投稿: もきゅすけ | 2009年4月18日 (土) 15時29分

はじめまして。こんにちは^^

先日、わたしもすみれ万年筆を買いました。
5月がお誕生日なので、なにか縁のあるペンを探していたんです。(5月には“すみれ売り”というイベントがあるのです^^)
ただ、万年筆は好きですがあまり詳しいことは知らないので、こちらのエントリーを読んで「なるほど~」と感心してしまいました。
あの・・・コンバータのところにある「棚つり」というのはどういうものなのでしょうか?
わたしはこの万年筆にCON-50のコンバータをつけています。(確かにインクの量が見えなくて使いづらいなと思いました)
それから、わたしのサイトにこちらの記事のアドレスを紹介させていただきたいのですが・・・。
初めての書き込みでいきなり質問&お願いをしてしまい申し訳ありません。
もしよろしければ教えてくださいo(_ _)o

投稿: USA | 2009年4月18日 (土) 22時50分

 USA さん、こんにちは。

 USAさんもすみれ色を買われたのですね。限定100本の万年筆ですが、ネットだと購入者が意外と集まるものですね。(^^)

 棚吊りというのは、インクがコンバータの途中で止まってしまって、ペン先側にまでインクが行かなくなってしまう症状です。その結果として、コンバータにはインクが残っているのに、ペン先からインクが出なくなってしまう、ということになります。ペンを振ったり、指で弾いたりすると治るのですが、あまり棚吊りが頻繁だと、厄介に感じますね。
 棚吊りは起きやすいコンバータとそうでないコンバータとがあり、パイロットのCON-50は棚吊りが生じやすいコンバータとして、有名です。棚吊りは、コンバータとインクとの相性でも、生じやすさが変わります。

 今使っているインクで、棚吊りの症状が出ていないのでしたら、そのままCON-50を使って問題ないと思います。

 当ブログへのリンクについてはご自由にしていただいて構わないです。

投稿: もきゅすけ | 2009年4月19日 (日) 03時15分

もきゅすけさま

解りやすい説明をありがとうございました^^
なるほど。。そういう症状が出るかもしれないのですね。
コンバータを使っている万年筆は数本ありますが、まだそのような経験がなかったので勉強になりました。
パイロットの万年筆は2本目なのですが、まるまるもちもちって感じの書き心地が不思議で
意味もなく“いろはうた”を書いてしまったり・・。
日本の万年筆は漢字だけでなく、ひらがなを書いたときの柔らかい滑らかな線が楽しめるので好きです。

リンクの件、ご了承いただきありがとうございました。
さっそくご紹介させていただきました。
URLを入れるとエラーで先に進まないのでサイト名だけで失礼いたします。
また遊びに来させていただきますね^^

「USA STREET」  USA

投稿: USA | 2009年4月19日 (日) 11時31分

 USA さん、こんにちは。

 棚吊りは起きると厄介ですが、そうそう頻発するというものでもないので、実際に起きなければ気にされなくても良いでしょう。もっとも、いざ起きてしまうと、解決が難しいのが棚吊りでもありますが。(^^;
 パイロットは、細字でも中字でも、あまりカリカリせずに書けるのでいいですよね。私の場合、大量筆記で腕が疲れたときに、よくパイロットの万年筆を使用します。

 URLを入れるとエラーになるという件、すいませんでした。原因は不明ですが、こちらの方で入力しておきました。何か問題がございましたら、おっしゃってください。

投稿: もきゅすけ | 2009年4月20日 (月) 16時56分

どーむさん、初めまして。マジェスティです。定例会の時に何度かお会いしている筈なのですが、なかなかご挨拶出来ずにすいません(^_^;)キャップレスデシモ『阪急カラー』、素敵ですね!とても綺麗なスミレ色。男性、女性を問わずに使える色ですね!キャップレスシリーズは私もスタンダード、デシモ、フェルモと三本程使ってますが、それぞれに良さが有り、どれも気に入ってますねo(^-^)o価格がさほどお高く無く、財布の軽い私にも手が出しやすいのも、気に入ってますねσ(^◇^;)。。。実際の書き味も、手帳の記入に便利なF、ノートに適したB等々、ペンポイントの種類によって使い分けるのも良しですね!最近余りに便利なので、私も必ず二本挿しのペンケースの一本は必ずどれかのキャップレスを挿してます!やはり歴史が長く、真面目に作り続けられていて、且つ高度な技術に裏打ちされた半工業製品(やはり手作りの部分も有るんでしょうね)だと、使う度に実感出来る良い萬年筆だと思います!

投稿: マジェスティ | 2009年4月26日 (日) 11時36分

 マジェスティ さん、こんにちは。

 どーむさん宛でしたら、どーむさんのブログに書かれた方が確実かもしれません。(^^) キャップレスは初めて買いましたが、思ったよりも便利ですね。できれば金属軸だけでなく、派手な色軸や木軸などのバリエーションがあれば、もっと積極的に買いたい所ですね。

投稿: もきゅすけ | 2009年4月29日 (水) 22時12分

もきゅのすけさん、大変失礼致しました(・ω・;)(;・ω・)てっきりどーむさんのブログかと思いまして・・・・・申し訳ございませんでした!しかしながら貴ブログは以前から見させて頂いて居りました。大変参考になり、私も何度か実際に購入するガイドにさせて頂いて居ります(^_^;)これからも宜しくお願い致します(^_^;)ではでは マジェスティでした!

投稿: マジェスティ | 2009年4月30日 (木) 00時02分

もきゅすけさん、マジェスティです。ブログ違いだけでなく御名前まで間違えるとはガ-(゜Д゜;)-ン!ホントにごめんなさい!すいませんでした!それからキャップレスの素材のバリエーション、カラーバリエーションの拡充、私も叶うなら、お願いしたいトコですね!特にもきゅすけさんの案の、木軸なんて非常に面白いですねo(^-^)o私も大賛成です!それからエボナイト軸なんてのも良いですよね!シャッター廻りに絡む口金の部分やクリップ等の部品をを流用すれば、可能かとは思うのですが・・・・・・

投稿: マジェスティ | 2009年4月30日 (木) 02時29分

 マジェスティ さん、こんにちは。

 あ、勘違いされていたんですね。了解です。言われてみれば、私のブログでは管理者の名前を前面に出していませんので、分かりにくかったかもしれません。

 キャップレスは色違いや多少の模様違いはありますが、基本的には金属軸のラッカー仕上げというのは共通ですよね。構造的に他の材質を使うのは難しいのかもしれませんが、ユーザーからしてみれば、チャレンジして欲しい気持ちがあります。まあ、ユーザーのわがままな要求とも言えますが。(^^;

投稿: もきゅすけ | 2009年4月30日 (木) 06時11分

CON50をずっと使用していたのですが、壺インクが切れたので、併せて久しぶりにコンバーターを新しくしようと新品のCON50を購入すると、プラのチューブの中に異物が!こりゃなんだ???と思ったら、きっと棚吊り防止のために入っているのでしょうね。パイロットのサイトにも、その旨の変更に関し記述も無かったので勝手な想像ですけれど。。。

投稿: CON50 | 2012年6月 5日 (火) 14時22分

是非お試しあれ! BR01と比べると、確かに一回り小さく、小ぶりな印象を受けますが、実際に付けるとかなりインパクトがあります。
ベル&ロスのBR01シリーズは46ミリの正方形ケースとかなりの大迫力、一回り小さいBR03シリーズでさえ、42ミリのビッグサイズです。
この大迫力のスクエアケースは世界的なトレンドも味方して、時計好事家以外にも、セレブやファッショニスタを虜にしていきます。
すぐに効果を出すことは大事ですが、もうニキビを繰り返さない肌をつくることに着眼したそうです。
「腕時計には男のロマンを感じる」と時計好事家はよく口にします。
有名時計ブランドで創業100年未満の時計ブランドの方が、少ないほどです。
ベル&ロスは”ファッショニスタにファンの多い時計ブランド”として有名です。
オーバーホールに関しても、あまり手の込んだムーブメントなら高くなりますが、多少の付加機能のモジュール付けなら、値段はそんなに変わりませんよ(街の時計修理屋の値段)。
☆★☆ご希望でしたら店頭にて実際に商品をご覧頂くことも可能です。
そんなベルブランは、根本からニキビ跡をケアすることに商品のコンセプトを置いているとのことでした。
ニキビ跡への効果は化粧品口コミサイトでも点数の高いクチコミ(平均5点以上)が多いことからも、信頼はできるのではないでしょうか。
他にも各種ブランドのスーパーコピー品多数、取り扱っております。
業界でも高い知名度と好評度を持っております。
そのきっかけは、有名ブランドのカタログでの使用が大きいと言われています。
世界的デザイナーであり、洒落者としても有名なラルフロー氏は、ベル&ロスのBR01シリーズを大変気に入ります。
BRシリーズはプロスペックのパイロットウォッチ、視認性、機能性、耐久性においても、老舗高級時計ブランドと肩を並べる事の出来る本格的腕時計。
イタリアの時計ブランドである”パネライ”が一世を風靡して以来、時計業界はビッグケースがトレンドとなっていました。
カタログで採用されたベル&ロスの腕時計が、注目を集めないハズはありません。
ラルフローレンやカールラガーフェルドと言った、カリスマデザイナーの着用から、ファッション業界での人気も高い。
ベル&ロスの全てのモデルの中で、一番人気モデルであるBR03シリーズ。

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投稿: ロレックス時計コピー | 2020年6月 2日 (火) 04時03分

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投稿: スーパーコピー メンズ 服 アプリ | 2020年12月19日 (土) 12時59分

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