パーカー デュオフォールドにおけるインクのボタ落ち
コンバータや吸入式の万年筆の場合、ボトルインクを吸入した後、一定の儀式を行う必要があります。ボトルインクからインクを吸入した後、吸入軸を緩めてインクを2~3滴落とします。その後に吸入軸を締め直すことで、インク吸入直後の筆記時に、ペン先からインクがボタ落ちするのを防げます。
→★万年筆のインクの入れ方と手入れの方法★ (高級万年筆の文栄堂)
その作業はゴムサック式など一部を除いて、どんな万年筆でも行いますが、その作業を特に入念にやるべきと感じる万年筆があります。それが、パーカーのデュオフォールドです。
▼フラットフィーダー
デュオフォールドの場合、インク吸入をした後、ちゃんと上記の作業をしたにもかかわらず、筆記途中でインクがボタッと垂れたという経験が何度もあります。どうも、デュオフォールドはペン芯内のインク保持量が相当に多いみたいで、それが原因でインクがボタ落ちしやすいのではないかと仮説を立てています。
実際、ペン芯を見てみると、首軸に入り込んでいる部分にまで大量のフィンが設けてあるのが見てとれます。
ペン芯の外側にフィンが出ているタイプだと、インク吸入後に布などで拭うときに、フィンに溜まったインクを吸い取ることが出来ます。しかし、デュオフォールドのようなインナーフィンタイプだとそれが出来ないために、ペン芯内に過剰にインクが保持されたままになるのではないかと思います。
このボタ落ち現象は、インクによっても変わってきます。粘性の高いインクだと発生しにくいですが、パイロットインクのようなフローの良いインクだと、高確率で発生します。
▼念入りに儀式を遂行
という訳で、私はデュオフォールドを吸入した後は、2~3滴と言わず、5~6滴以上はインクを戻すようにしています。忘れずそうすることで、ボタ落ちという事態は防げています。
それにしても、デュオフォールドのペン芯内のインク保持量はすごいですね。この構造は、インク切れや掠れを防ぐためにこうなっているのでしょうか。キャップに穴が空いていて乾燥しやすいという設計とも関連しているのかもしれません。
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コメント
こんにちは、初めまして。米国南東部に住む「まいける」と申します。万年筆関係のブログやHPを歩いていて読ませて戴きました。海外通販をご利用でコンウェイスチュアート等を購入されているというので読ませて戴きました。私は元日本の万年筆メーカー勤務で米国に赴任し、退社して米国でコンウェイ、カヴェコ、アンコラ、スティピュラ、ヌードラーインクを扱う輸入販売代理店を米国人のパートナーと立ち上げ、今は万年筆調整修理を個人的にHPでビジネスとしてやっています。(ご存知のリチャード・バインダーと同じ商売ですね)米国の万年筆業界に10年以上身を置き、殆どのブランドの代理店、全米の小売店、通販業者とも個人的に付き合っていますが、輸入代理店をやっていたつながりでコンウェイ、ヴィスコンティ、カヴェコなどは今でも扱えます。米国の通販関係でお聞きになりたい事があればどうぞご遠慮なく。
投稿: まいける | 2009年4月21日 (火) 22時36分
まいける さん、こんにちは。
まいけるさんは、ずっと万年筆業界に携わってこられたのですね。カヴェコ、アンコラ辺りは、日本では比較的なじみが浅いブランドですね。それらの万年筆にも興味があるのですが、なかなか店頭で見かけないのが残念です。何かありましたら、お尋ねすることもあるかもしれません。宜しくお願いします。
投稿: もきゅすけ | 2009年4月24日 (金) 05時39分