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WATERMAN 「エクセプション・スリム」 のレビュー

 ウォーターマンのエクセプション・スリム、ブルーラッカーSTのEFです。

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(1)外観

 エクセプション・スリムは、四角い胴軸を持つ、極めて特徴的な外観の万年筆です。角が多少丸められているものの、正方形に近い形ですね。胴軸が丸軸以外の万年筆は色々ありますが、その中でもこのエクセプション・スリムは、かなりとんがった仕様だと思います。

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 材質はウォーターマンらしく、真鍮にラッカーが施されたものです。

(2)ペン先

 ペン先はウォーターマンにしては珍しく、18Kの金ペンです。ウォーターマンのEFらしく、丸研ぎ風味です。

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 ニブは小さくて分厚く、また大きく湾曲していることもあって、ガチニブです。鉄ペンのエキスパートとあまり変わらない書き味ですね。エキスパートの書き味が気に入っている方なら、このペン先も違和感なく使えるでしょう。

 →WATERMAN 「エキスパート」 のレビュー

(3)筆記感、持ち方

 このエクセプション・スリムですが、私はかなり持ちにくいと感じます。正方形に近い胴軸のため、どうにも手の中で安定して持てないのです。

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 このように胴軸が変わった形でも、首軸は円形ということが多いものです。しかしこのエクセプション・スリムは異なります。ペン先近くは丸形であるものの、首軸後端は四角に近い形になっているのです。なので、よほど先端部を持って筆記する人以外は、四角い部分を持って筆記することになります。

 万年筆の持ち方にはいろいろあって、どれが正解というものはありません。ただ、私の持ち方はそれほどトリッキーではなく、標準的なものだと思います。その私がこの万年筆を持つと、どうにも落ち着きません。


 例えばこの持ち方だと、親指と人差し指は四角の平面部分を持ちますので安定しますが、中指に乗せる部分は、四角の頂点部分となるため、安定せず、また少し痛いです。

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 一方この持ち方だと、中指には平面部分が乗りますので安定しますが、今度は親指と人差し指が頂点部分を持つことになりますから、これもまた安定しません。

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 つまり、どっちつかずなのです。もちろんこれは、各人の持ち方次第の面がありますので、問題なく持てるという方もいるでしょう。ただ私の場合はダメですね。一般的な円形軸の万年筆に比べれば、人を選ぶ万年筆だと思います。

(4)ペン先の向き

 上の項目では、二種類の持ち方について書きました。ただ注意すべきは、どちらの持ち方も許容する、とは簡単に言えないことです。というのも、万年筆ですから、ペン先の向きに持ち方が拘束されるのです。

 この写真の持ち方でしたら、ペン先が紙に水平に当たります。

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 しかしこの写真持ち方だと、ひねり書きの形になり、インクがうまく紙につかなかったり、書き味を悪く感じたりします。

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 こうした持ち方の自由度の低さは、サファリやペン習字ペンなどのような、首軸に凹みがつけられている万年筆にも言えることです。自分の好みの持ち方で持つと、ペン先が並行に紙につかなかったりすることがあります。


 ただし、このエクセプション・スリムの場合は、裏技があることはあります。というのは、サファリやペン習字ペンと異なり、首軸内に凹みや凸部がないため、ペン先を一度引っこ抜いて、好みの位置にセッティングすることが可能なのです。この技を使えば、好みの持ち方で問題なく書くことが可能です。実際、私はデフォルトの位置からセッティングを変えています。

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 しかし、ペン先を抜くという行為には危険が伴います。最悪、万年筆を壊したり、ペン芯ズレを発生させたりする可能性もありますので、なるべくなら実行されない方が良いと思います。

 →ペン先を引き抜くことの危険性と弊害

(5)筆記バランス

 金属軸で、40gと少し重めです。ただ、全体のバランスは悪くないと思います。キャップだけで15gありますから、キャップを後ろにつけると、ちょっとリアヘビーに感じるかもしれません。私はキャップを後ろにつけずに書きます。

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(6)キャップ、その他

 キャップは嵌合式です。かなりしっかりとした嵌り心地です。

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 キャップには隙間があるようで、ペン先が乾燥しやすいです。(※キャップに水を入れると、漏れるのを確認済みです。)一週間ぐらい使わずに放置すると、ファーストタッチがかすれたり、インクが煮詰まったりします。エキスパートやフィリアスなどではそうした問題が発生しないので、ちょっと気になる点です。

 ちなみに、キャップ内側にマイナスドライバーを突っ込んでネジを外すと、クリップ部を分解出来ます。(※これも真似されない方がいいと思います。)

 インク吸入方式は両用式です。

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(7)総評

 スクエアボディという特徴的な外観を持つ万年筆です。特異な形ゆえに、筆記感もかなり独特で、かなり好き嫌いの分かれる、持ち手を選ぶ万年筆だと思います。悪い万年筆ではありませんが、実用としてこの万年筆の購入を検討される場合は、しっかり試筆して、自分に合うかどうかを確かめてから購入することを勧めます。

 ところで、このエクセプションは、カラーバリエーションが増え、プレシャスメタルのモデルも発売されるなど、拡充が著しいです。ル・マン100の廃番後、ウォーターマンはこのエクセプションをフラッグシップにするつもりみたいですね。ただ、すでに述べたように、かなり癖のある万年筆ですから、その戦略が正しいのかどうかは、少し微妙に感じる面もあります。

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  ※スペック一覧

・重さ 全体:40g キャップ:15g キャップなし:25g
・長さ 全長:13.7cm キャップなし:12.7cm 後尾にキャップ:16.4cm
・太さ 首軸最小径:8mm 首軸最大径:11mm 胴軸最大径:13mm 胴軸最小径:9mm キャップ先端:13.5mm キャップ後端:11mm

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万年筆 / 感想・レビュー (外国産)」カテゴリの記事

コメント

EF Maniaさんこんにちは。

ちょうどエクセプション・スリム(EF)の購入を検討していましたので、レビュー非常に参考になりました。
どうもありがとうございます。

グリップまでもが四角いのは気になりますが、レビューを拝見する限り、サファリの
グリップを普通に握れる(?)私なら、案外何とかなるかもしれない気がしてきました。
何より、書き味がエキスパートと同じという点は最高です(ニブの研ぎ方が同じなのでしょうね)。

個人的には、エキスパートの胴軸にエクセプション・スリムの18金ペン先の組み合わせが
最高な気がしますが、そもそもペン先を交換できるかも分かりませんしね。

ともあれ、購入する決心がつきました。
節約生活で早くお金を確保しないと・・・。

投稿: 斎賀 | 2009年7月22日 (水) 19時11分

 斎賀 さん、こんにちは。

 レビューが少しでも参考になったのでしたら、書いた甲斐がありました。この万年筆はかなり癖がありますから、積極的に勧めにくい面が多いんですよね。合うか合わないかの二択という感じです。なので、試筆された方が良いと思います。エキスパートに比べれば重めですから、キャップはつけない方が書きやすいかもしれません。

 エキスパートの胴軸にエクセプションのペン先というのは、残念ながら無理でした。ペン芯の形が違いますので。エキスパートは、特定の方向にしか入らないよう、首軸内部に型がつけられてます。まあ、それほど書き味に違いがあるわけではないので、無理に交換する必要ない感じですね。

 ウォーターマンのペン先は小さめのが多いですが、個人的には大きめのも作って欲しいですね。

投稿: EF Mania (管理人・改名中) | 2009年7月23日 (木) 12時01分

素晴らしいレポートありがとうございます。
万年筆は完全な初心者ですが、いつも見る度に感じます。
そして、オークションでついつい時間が過ぎ・・・

そんな中で、最高に気に入ったデザインが、
エクセプション ナイト&ディプゴールドGT
です。

しかし、握りやすいのかなぁ・・・と常々疑問に思っておりました。
大変分かり易くて、参考になりました。
心から感謝いたします。
ありがとうございました。

投稿: taka | 2009年8月10日 (月) 00時04分

 taka さん、こんにちは。

 お返事が遅れてすいません。一足早く帰省してました。
 褒めていただき恐縮です。私の記事が少しでも参考になったのでしたら、書いた甲斐がありました。ナイト&ディは綺麗ですよね!私も見た目としては相当に気に入っている万年筆で、今も購入したいという気持ちは持ってます。ただ、やはり価格と大きさ、重さがネックですね。存在感や押し出しはかなりあると思うのですが。

 この万年筆は、日常で大量筆記はちょっとつらいですかね。やはりちょっとしたサインなどをさらさらと書く用途に使うのが向いていると思います。そういう用途でしたら、存在感があり、良い万年筆だと思います。

投稿: EF Mania | 2009年8月11日 (火) 14時35分

こんばんは。
こういうデザインの万年筆は好きです。さすがフランス製だけあって、ウォーターマンは皆お洒落ですね。
私は万年筆でもよほど先端の方を持って筆記するので、この正方形の形状は問題にならないと思います。
ウォーターマンの万年筆は、筆圧の高い人向きでしょうか。

私も、母の知人から譲り受けたウォーターマンの万年筆を使ってます。
ご多分にもれず、頑丈なガチニブの細字ですが、10年近く前にもらった物なので名称が分かりません。
写真が拙ブログにありますので、大変ご迷惑とは思いますが、教えて下さいませんか。お願いします。

投稿: ヘンリー | 2010年11月30日 (火) 23時24分

 >ヘンリー さん

 ウォーターマンは、最近は全部ガチニブですね。かなりの高額モデルでも鉄ペンが使われることが多いのですが、これは珍しく金ペンです。個人的には、もうちょっとペン先を大きくして欲しいですね。
 ヘンリーさんの写真を拝見しましたが、モデル名は分かりません。すいません。首軸部の形状は独特で変わってますので、見たことがあれば分かるのですが、おそらく私が見たことがないモデルだと思います。キャップはネジ式のようですが、嵌合式の多いウォーターマンにしては、かなり珍しいモデルだと思います。

投稿: EF Mania | 2010年12月 2日 (木) 15時27分

こんばんは。ご教示有難うございます。ご迷惑をお掛けしまして申し訳ありません。形状から言えば、パイロットのカヴァリエかセレモに似てますが、随分前にもらった物なので、廃盤になってるかもしれませんね。キャップは嵌合式です。「謎の万年筆」ということにしておきます。
ウォーターマンのネジ式はあまり見たことがありませんね。

フランスの会社だから、18金を好んで使うのかと思いきや、意外にも鉄ペンが多いんですね。
私も大きなペン先は好きです。ナミキの50号ペン先はさすがに大きすぎますが……

投稿: ヘンリー | 2010年12月 2日 (木) 21時41分

 >ヘンリー さん

 パーツでは似ているところはあるのですが、全部に合致するモデルが見つかりませんでした。系統としてはメトロポリタンやハーモニー、アポストロフィ辺りの系統だとは思うのですが、おそらくそれらよりも前のモデルだと思います。インターネット普及後のモデルだと情報が多く残るのですが、それ以前のモデルですと、ネット情報が乏しいことが多いです。
 2万円クラスの万年筆で鉄ペンを採用するメーカーはウォーターマンぐらいじゃないかと思います。そういう意味では特異なメーカーですよね。

投稿: EF Mania | 2010年12月 5日 (日) 06時20分

確かにその三つに似てますね。このペンは購入から15年から20年は経っていると思うので、インターネットに掲載されてないのも仕方ありません。10年以上前はインターネットが今のように普及してませんでしたからね。
それにしてもこの万年筆、後ろにキャップをさして使う人には不向きです。後ろの塗装がはげてくるんです。

おフランスでありながら、鉄ペンを好むウォーターマンはある意味堅実ですね。おかげで気兼ねなく使えます。

投稿: ヘンリー | 2010年12月 5日 (日) 17時11分

 >ヘンリー さん

 装飾が凝った高額万年筆ではなく、実用万年筆の場合は、コレクションの対象となりにくいので、情報がどうしても不足しがちです。塗装の剥げは痛いですね。私の場合はリアヘビーが嫌いということもあって、キャップは原則として後ろには挿さないので、そうした問題からは解放されています。ただ、短い万年筆の場合はそうもいかないのが悩みどころです。

投稿: EF Mania | 2010年12月 6日 (月) 11時08分

高額の万年筆は芸術品としても価値がありますから、情報が残りますね。確かに、この万年筆はとりたてて派手なところはありません。塗装の万年筆は剥げるのが心配なので、キャップをさす癖のある私には使いにくいです。短い万年筆はキャップをささないとバランスが悪くなりますね。プレラが良い例です。

投稿: ヘンリー | 2010年12月 6日 (月) 20時24分

 >ヘンリー さん

 キャップを挿さない派ですと、塗装を気にしなくていいのはメリットです。一方で、キャップを後ろに挿さなければならない万年筆が煩わしくなるというデメリットがあったります。(^^;

投稿: EF Mania | 2010年12月 8日 (水) 15時12分

ショートサイズの軽い万年筆なんかがそうですね。私の場合、キャップを挿さないと、床に落としそうな気がするので安心して筆記が出来ません。

投稿: ヘンリー | 2010年12月 8日 (水) 21時34分

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