« 超微粒子顔料インク 「青墨(せいぼく)」 が発売に | トップページ | ペリカンから「インディアン・サマー」が発売に »

ペン先に激しい段差がある愛用万年筆

 以下の写真に写っているのは、一世代前のパイロット・レガンスのペン先です。見ての通り、ペンポイントが大きくズレて、段差ができています。「不良個体か、調整失敗か、経年劣化か」と思われるかもしれませんが、実はこのペン芯ズレの状態で愛用しているのです。

1053

■ひねり書き

 過去の記事で何度か書いたように、私はひねって書く癖があります。右にひねる癖があって、視線からはペン先の横が見えている状態です。

 このひねり書きで書く場合、このズレているペン先のレガンスで書くと、とても書きやすいのです。普通であればペン先が平行に紙につかないところを、ズレがあるおかげで、左右のペンポイントが両方ともうまく紙につくのです。そのおかげでとてもなめらかで、とても書きやすい書き味となっています。

1055_2

 とは言っても、これが普遍化できるかと言えばそうではありません。このレガンス以外の万年筆をわざと同じようにペン先をズラして書いてみても、ペン先のエッジが紙に引っかかって、ガリガリの書き味になってしまいます。

 ではなぜこのレガンスだけペン芯ズレの状態で書き味がいいのかと言えば、それは長年の書き慣らしによるものです。このレガンスを購入したのは、かなり前のことです。以前の記事に書いたヤングプロフィットの次ぐらいに購入した万年筆で、私が万年筆にハマって多数購入する前に購入した一本です。

 →ペン先を使い切ったヤング・プロフィット

1054

 このレガンスは、書き味が気に入り、かなり愛用してたくさん文字を書きました。昔からひねって書いていたせいで、このレガンスも私の書き癖に合わせて、ペン先に段差ができたようです。昔はペン先をルーペで見てメンテナンスをするということはしていませんでしたから、段差ができていることも知らず、そのままで大量筆記しました。そのおかげで、ペン先のエッジが丸まり、ペン先がズレた状態でなめらかに書けるよう、ペン先が成形された、という訳です。

■取り替えのきかない万年筆

 万年筆は、自分の書き癖に合わせて育っていくもの、とよく言われますが、私にとってはこのレガンスがまさにその一本です。私のひねり書きに最適化された、段差のあるこのペン先は、他の人が使ってもガリガリで書けたものではないでしょうね。しかし私にとっては欠かせない一本です。

1056

 こうして自分好みに育ったレガンスですが、他の万年筆を同じように育てようという気にはならないですね。段差がある状態でなめらかに書けるように育てるのには、相当な時間がかかります。たくさん万年筆を購入している今となっては、一本をそこまで育てられません。なので、今はひねり書きの癖を矯正しようとしていますし、ペン先の段差もその都度直しています。

 しかし大量筆記するときには、ひねり書きの状態で快適に書けるこのレガンスはとても貴重です。所有している中で、もっとも紛失したくない万年筆がこれですね。段差がある状態で固定されているため、字幅がFMぐらいあるのが難点ですが、超大量筆記する必要があるときには、いつもこれを使ってます。

1057

|

« 超微粒子顔料インク 「青墨(せいぼく)」 が発売に | トップページ | ペリカンから「インディアン・サマー」が発売に »

万年筆 / 全般」カテゴリの記事

コメント

 はじめまして。いつも興味深く拝見しております。

 特に硬い方に属するパイロットのペンポイントがなじむほどに
摩耗しているのいうのが凄いですね。私は大量に書かないので
こんな出来事には一生出会えないと思いますが・・・。

 旧レガンス、やはり軸が美しいですね。

投稿: つきみそう | 2009年9月20日 (日) 08時58分

すごいですね、これだけの段差で滑らかに使えるとは・・。
まぁ、元々の素性がいいからの事でしょうね。

投稿: 二右衛門半 | 2009年9月20日 (日) 12時58分

 つきみそう さん、こんにちは。

 パイロットのペンポイントはかなりしぶといです。馴染ませるのに苦労する一方で、一度馴染んでしまえば、それが長く保たれるので、良い面があるとも言えます。
 旧レガンスの軸では、青と赤の混合のモデルを購入しておけば良かったと、ちょっと惜しく思っています。

投稿: EF Mania | 2009年9月21日 (月) 23時17分

 二右衛門半 さん、こんにちは。

 ペン先が金ペンだから、というのもあるかもしれないです。多少の弾力があるために、段差があっても筆圧をなめらかに受け止めてくれてるっぽいです。まあ、段差万年筆はこれ一本しかありませんので、はっきりしたことは分かりませんが。(^^;

投稿: EF Mania | 2009年9月21日 (月) 23時20分

激しく凄いペン先ですね!かなりの量の文字をしたためられたのが分かります。凄いですね。これぞ“自分の1本”なのだと思います。ここまで来ると代替はきかないですものね。萬年筆もペン冥利に尽きると思います^^

投稿: シューちゃん | 2009年9月22日 (火) 11時39分

 シューちゃん さん、こんにちは。

 長期出張のため、お返事が遅れて申し訳ありません。
 この万年筆ですが、かなりの文字数を書きました。ちょっと計算してみましたが、まちがいなく100万文字以上は書いていると思います。それだけ書いても、エッジは削れたものの、ペンポイントはまだまだ残っています。さすがパイロットのイリジウムの硬さは驚きですね。

投稿: EF Mania | 2009年9月25日 (金) 15時27分

どっひゃ~(@@;
この状態で気持ちよくかけるというのがすごいです。
私の場合、ちょっとでも引っかかりを感じると自分ができる範囲で
調整してしまいます。
精神上良くないので(^^;
もちろん、ダメな場合は先生方にお願いしますが(^^;
ばれているのかいないのかヾ(^ )コレコレ

投稿: ZEAK | 2009年9月26日 (土) 08時41分

 ZEAK さん、こんにちは。

 この万年筆の場合、調整というものの存在自体を知る前に使っていましたので、我慢してこの状態まで仕上がりました。今でしたら、すぐに我慢が出来ずに調整していしまいます。(^^;
 ラッピングフィルムなどで削らない限りはバレなさそうに思えるんですが、どうなんでしょうね。個人的には、削ってしまえば、ペンクリに頼るのは御法度だとは思うのですが。

投稿: EF Mania | 2009年9月26日 (土) 16時03分

この記事へのコメントは終了しました。

« 超微粒子顔料インク 「青墨(せいぼく)」 が発売に | トップページ | ペリカンから「インディアン・サマー」が発売に »