SHEAFFER 「VLR」 のレビュー
シェーファーの「VLR バーガンディ」Fニブです。海外では Valor と呼ばれているモデルです。
(1)サイズ・重量
シェーファーの現行品では、レガシーヘリテージとVLRが二大モデルになってます。レガヘリが「太軸・重め」に対して、VLRは軽く、胴軸は同じぐらいの太さですが、首軸が細めなのが特徴です。ただ、すでに廃番になったタルガに比べれば、胴軸は太く、長めです。
タルガが現行品であれば、大・中・小とバランスのよいラインナップになっていたでしょう。その意味で、タルガの廃番は残念です。
VLRは国産で言えば、プレジデントやプロフィット21クラスの使用感ですね。レガヘリは太すぎて使いにくい、という方なら、VLRを試してみる価値はあるでしょう。
| 首軸最大径 | 胴軸最大径 | 長さ | 重さ | |
|---|---|---|---|---|
| タルガ | φ9.5mm | φ11mm | 135mm | 24.5g |
| VLR | φ10.5mm | φ12.3mm | 148mm | 25.5g |
| レガシーヘリテージ | φ12mm | φ12.5mm | 137mm | 34g |
(※タルガとレガヘリは、モデルによって重量などが異なります。上記の表は、「タルガ1005」と「レガシーヘリテージ キングスゴールド」のスペックです。)
(2)外観
独特の色合いを持つレジン製の胴軸です。マーブル模様ともまた違った感じで「」、光の当たり具合で見え方が異なります。それなりに好みが別れる模様かもしれません。
天冠からクリップに至る流線型のラインは、個人的にはかなり好きです。
(3)ペン先
シェーファーの上方に反ったペン先のおかげで、弾力のない硬いペン先にもかかわらず、独特の柔らかい書き味が得られます。ここで言う「柔らかさ」は、物理的にニブがしなることで得られるものではなく、紙当たりが柔らかいことで得られるものです。
この独特の書き味は、結構癖になります。シェーファーの万年筆にハマってたくさん集めるマニアもよく見かけますね。私も最近になって、シェーファーがどんどん好きになって、集め出しています。VLRの反り具合は、シェーファーにしてはちょっと控えめでしょうか。個人的には、もうちょっと反っていて欲しかったところです。
インクフローはかなり潤沢です。また、字幅は細めです。舶来万年筆は国産に比べて字幅が太めですが、「クロス、アウロラ、シェーファー」の3社は、比較的細めです。このVLRも、F表記の割には国産FMクラスで、細字好きの私でも満足できる一本です。これでXFがあれば言うことなかったのですが。
(4)その他
VLRはネジ式で、両用式の万年筆です。
ネジは胴軸の樹脂側に切られているのですが、この部分の処理はちょっとイマイチに感じます。美しさという点では、この仕様は評価が少し下がります。
(5)総評
「シェーファーの独特の書き味は好きだけれど、レガシーヘリテージは太軸すぎる」と感じる人にピッタリの万年筆だと思います。ペン先の反り具合は控えめですが、それでもシェーファー独特のタッチの柔らかさは健在です。初めてインレイニブのシェーファーを購入するという場合、このVLRはちょうどいい候補かと思います。
※スペック一覧
・重さ 全体:25.5g キャップ:12.5g キャップなし:13g
・長さ 全長:14.9cm キャップなし:12.6cm 後尾にキャップ:16cm
・太さ 首軸最小径:7mm 首軸最大径:10.5mm 胴軸最大径:12mm 胴軸最小径:8mm キャップ先端:14mm キャップ後端:11mm
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コメント
VLRってなかなかボリュームがありますよねー。
サイズ比較表、おもしろいです。
シェーファーはタルガが偉大すぎて、なかなかそれ以外は入手に動く気持ちが起きないんですよねー。
でも、こうして紹介されると、VLRもなかなかいいな、と思ってしまいます。
いいですねー!
投稿: 二右衛門半 | 2009年10月26日 (月) 13時29分
紫色は珍しいですね。しかも透過光がある樹脂はだいすきです。
シェーファーは、さいきんなにかと見かけることが多く、手も出してますが、
あのコンバーターの値段はつらいです。
投稿: 白髪猫 | 2009年10月26日 (月) 22時16分
二右衛門半 さん、こんにちは。
VLRは愛用していますが、なかなかいいですよ。ただ、タルガはもっと愛用していたりします。(^^; やはりタルガは偉大です。タルガをお持ちなら、VLRの出番はないかもしれません。
タルガは廃番になっちゃいましたから、現行品で選ぶならVLR、という感じですね。
投稿: EF Mania | 2009年10月27日 (火) 00時59分
白髪猫 さん、こんにちは。
紫風味がある赤色、という感じですね。ただ、あまり紫成分を期待されると、がっかりされるかもしれません。基本的には赤系統ですので。
海外ブランドの場合、コンバーターやリフィル、カートリッジなどが高いのが多いですね。最初から付属のを大切に使うのが賢いでしょうか。ただ、オークションで手に入れた場合、コンバーターが付属していなかったりする時があるので、それが辛いところです。
投稿: EF Mania | 2009年10月27日 (火) 01時03分
シェーファー、好きです。一時期は作り込みが悪かったりもした(『ペン!ペン!ペン!ファウンテンペン』に詳細あり)のですが、
今年になって買ったレガシーヘリテージ(M、ブラッシュトゴールド)は嵌合式キャップもしっかりしていて、愛用しております。
ただ、ペンを内側にひねるような書き方をすると、インク切れを起こすことがあるのが不満です。
イリジウムペレット製造3社の一角ですから、頑張ってほしいです。
投稿: 狂四郎 | 2009年10月27日 (火) 11時21分
気がつくとシェーファーは増えているように思います、書き味的にもVLRは好きな部類だと思います。申し遅れましたが、今後ともよろしく・・
投稿: 夢待ち人 | 2009年10月27日 (火) 12時41分
前のコメントで質問するのを失念してました。すみません。
VLRのキャップの気密性はどうですか?他メーカーと違って、ねじのピッチが粗いので、少し心配になりまして。
次に購入するのはVLRのF字だ!と意気込んでいたのですが、転勤して残業代が一気にゼロになったので、当分は買えません。
レガヘリは、嵌合式としては良い部類だと思っています。もっとも嵌合式キャップのものはあまり所持していませんので、基準を
どこに置くかで評価は変わってくると思いますが。
追伸:あまり関係のないネタでトラックバックさせていただきました。すみません。
投稿: 狂四郎 | 2009年10月28日 (水) 07時01分
狂四郎 さん、こんにちは。
ひねり書きの時のインク切れ問題はやっかいですよね。その問題は、特定のモデルで特別発生しやすい、ということよりも、個体差で発生することが多いと思います。私の手持ちの場合、デュオフォールド インターナショナルとマーレン21で発生しました。ただ、デュオフォールド センテニアルで問題が出ていませんでしたし、やはり個体差と考える方が良さそうです。
VLRの気密性の問題は、使う限りは感じませんから、大丈夫だと思います。キャップに穴が開いているパーカーなどの方が、気密性の面ではよりやっかいですね。
レガヘリはモノとしては悪くないのですが、最近は個人の趣味として細軸好きになりつつありますので、どうしても出番が少なめです。(^^;
投稿: EF Mania | 2009年10月29日 (木) 00時17分
夢待ち人 さん、こんにちは。
万年筆を使い始めた頃は、シェーファーの良さは分からなかったですが、最近になって、シェーファーの良さを実感している所です。最近はシェーファーの元気がないのが気がかりですが、是非復権してもらいたい所です。
投稿: EF Mania | 2009年10月29日 (木) 00時23分
なして日本だけ「VLR」なんでしょうね?
名古屋に「Valor/バロー」というスーパーがあるからでしょうか(笑)
http://www.valor.co.jp/
>初めてインレイニブのシェーファーを購入するという場合、このVLRはちょうどいい候補…
初インレイドニブの候補としてはお値段が可愛くなさすぎると思われます(笑)
投稿: どーむ | 2009年11月10日 (火) 18時31分
どーむ さん、こんにちは。
Valorでは発音しにくいからでは、とも想像するのですが、どうなんでしょうね。さすがにスーパーと同じ名前だから、という理由では採用をやめたりはしないでしょう。(^^;
たしかにVLRはちょっと高めですね。ただ、レガヘリはちょっと太軸過ぎるので、あまり初心者向きではないように思います。そういう意味でも、タルガは残しておいた方が良かったと思うのですけれど。
投稿: EF Mania | 2009年11月11日 (水) 08時30分