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Visconti 「ディヴィーナ デザートスプリング」 のレビュー

 ビスコンティの「ディヴィーナ デザートスプリング」、Mニブです。これは世界限定1618本の万年筆で定価12万円もするため、欲しくても購入は諦めていた万年筆でした。ただ米国代理店の変更という好機を得て、安く購入することができました。その経緯については以下の記事でまとめてあります。

 →eBayで万年筆を落札してみた

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(1)外観

 ディヴィーナ・シリーズは、正五角形が頂点二つ分の角度(144度)でねじれている、螺旋型の独特な形状の万年筆です。私は四角や八角、十角や三角など、円形ではないユニークな形状の万年筆が大好きです。ですので、これもとても気に入っています。ただ、頂点部にスターリングシルバーが埋め込まれているディヴィーナ・ブラックに比べると、螺旋の目立ち方は少し劣るでしょうか。

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 素材はセルロイドです。砂漠(デザート)をイメージするブラウンの下地に、湧き水(スプリング)を表現した青白の線がランダムに入った独特なデザインで、とても美しいです。以前の記事にも書いてきましたが、私は渦模様が大好きですので、この模様もストライクゾーンど真ん中です。

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(2)ペン先

 ペン先はオペラやヴァン・ゴッホ マキシと同じ、大型の18Kです。しなりのない硬めのニブです。同じ形のニブですが、この万年筆とオペラはガチニブで、ヴァン・ゴッホ カプチーノは柔らかめと、微妙な違いがあります。インクフローは適度で、快適に筆記できます。

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 →ビスコンティ 「ヴァン・ゴッホ マキシサイズ カプチーノ」 を入手
 →VISCONTI 「オペラ」 のレビュー

(3)吸入方式

 「プッシュ&プル・タッチダウン フィリングシステム」と名づけられた吸入方式です。ペンの尾部を押すと吸入ピストンが露出し、再度押し込む際にインクが吸入されます。機構的にはプランジャー式と言っていいと思います。以下のリンク先のアニメーションで、その仕組みがわかります。

 →Push Pull Filling (Visconti 公式サイト)

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 セーラーのプロフィットレアロと同じように、インク吸入のシリンダーが内部に仕込まれている形式です。ですので、プランジャー方式とは言え、胴軸がすべてインクタンクになっているパイロットのカスタム823ほどの大容量インクは入りません。まあ、823のようなインキ止めのシステムを持たない以上、大容量インクタンクの実現は難しい面があるので、仕方がないでしょうか。オペラ マスター・デモのように「ダブルタンク・パワーフィラー」システムにすると問題ないのですが。

 →吸入式万年筆のインク吸入量が少ない理由
 →Double reservoir power filler (Visconti 公式サイト)

 なお、機構上インクタンクから完全にインクを抜きにくいため、インクの種類を変えにくいです。一度決めたインクを使い続けた方がいいでしょう。

(4)その他

 平均的な重さの万年筆です。金属製の吸入シリンダーが後部にある関係か、重心は後ろ目です。前のほうを持って書く人の場合、キャップは後ろにつけずに書いた方が書きやすいと思います。

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 キャップは、「フック・セーフ・ロック」という独特の方式でポストします。キャップをさして、ほんのちょっとひねるだけで閉まります。これは便利そうなのですが、どうも私には違和感が先にたって苦手です。回転式や嵌合式のシステムに慣れていますので、キャップを閉めるときに意識を集中しなければならないのです。無意識で扱える伝統的なシステムのほうが好きですね。

(5)総評

 螺旋型の形状といい、吸入方式といい、キャップを閉じるシステムといい、すべてに渡って独特でユニークな万年筆です。ビスコンティの創業者であるダンテ・デルベッキオさんとルイージ・ポリさんは、もともとは万年筆マニアだったそうですが、それも納得できるこだわりの一品だと思います。ありきたりな万年筆ではなく、個性のある万年筆が欲しいという方にはピッタリな万年筆だと思います。

 デザイン面でも美しく、いろいろな意味でイタリア万年筆らしい一本です。

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※スペック一覧

・重さ 全体:42g キャップ:18g キャップなし:24g
・長さ 全長:14.7cm キャップなし:13.6cm 後尾にキャップ:17.5cm
・太さ 首軸最小径:10.6mm 首軸最大径:13mm 胴軸最大径:14mm 胴軸最小径:12mm キャップ先端:15mm キャップ後端:14mm

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