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Delta 「アメリゴ・ヴェスプッチ」 のレビュー

 デルタのアメリゴ・ヴェスプッチ、EEF字です。この万年筆は、EEF字という少し特殊な字幅でイタリアから購入しました。その経緯については以下の記事に書きました。

 →デルタの EEF(Extra Extra Fine) ニブの万年筆を入手

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(1)外観

 この万年筆は、大航海時代に活躍し、アメリカ大陸の語源ともなったアメリゴ・ヴェスプッチ航海士をモチーフとしています。この万年筆のキャップには、彼の名を冠した帆船アメリゴ・ヴェスプッチの甲板(ブラジル産の天然木カンゲラナ)が使用されていて、独特の雰囲気を持っています。

 この木軸キャップは、全体の造形やバランスは悪くないと思います。しかし木目は統一感がなく、色もくすんでいて、美しさという点ではもう一歩かなと思います。使い込まれた帆船の甲板を使っているという関係上、これも味と考えた方が良さそうです。

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 この万年筆には両用式の1Kとプッシュボタン式の1KSの2種類があります。両用式は胴軸が黒一色で、プッシュボタン式はパールオーシャンブルーです。私はこの深みのあるブルーが気に入りましたので、プッシュボタン式の方を購入しました。深い紫の中にキラキラ光る模様が浮かび上がっており、とても綺麗です。首軸部も含めて全体がレジンの切削加工で作られているため、模様のバランスに破綻がなくて高評価です。(※首軸部が共通部品の万年筆は、個人的には大きな減点ポイントです。)

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(2)ペン先

 胴軸とキャップがオリジナリティにあふれ、とても美しいのに比べると、ペン先のデザインは物足りないです。ドルチェビータなど他のデルタ大型ニブと共通のニブが使われているのです。私が持つ他の限定品「イスラエル60」「ジャコモ・プッチーニ」ではニブの刻印が特殊仕様なのに比べると、残念なところです。

 なおニブはドルチェビータなどと同じく、弾力が全くないガチニブです。18Kにせよ14Kにせよ、大型にせよ中型にせよ、デルタの万年筆はそういう系統ですね。デルタらしい書き味でいいと思います。他のデルタと同じく、インクフローは適度で、どちらかといえば抑え気味だと感じます。

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(3)筆記バランス

 キャップに木材が使われていて大型であるために、キャップが21.5gとかなり重めです。キャップを後ろに挿すとリアヘビーとなりますので、キャップを挿さない方が使いやすいと思います。

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 首軸はドルチェビータ等とは異なり、細く絞り込まれていますので、持ちやすいです。少しだけですが段差がありますので、段差を気にする方は気をつけた方がいいでしょう。

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(4)ボタンフィラー

 吸入方式はボタンフィラーです。内部構造を見ていませんが、ボタンを押すことで J-Bar が変形し、胴軸内のゴムサックでインクを吸入する方式でしょう。

 このボタンフィラーですが、他の同機構の万年筆と比較してもかなり動作が固いです。ですから、インク吸入するときには注意が必要です。もし油が付着したヌルヌルする手でインク吸入動作をした場合、手が滑ってボトルインクの底にペン先を打ち付けること間違いないです。

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 また、内部のゴムサックの寿命も少し心配です。内部の分解方法が分かれば自分でゴムサックを交換することもできるのですが、無理をして壊しては元も子もありませんので、試していません。(※ゴムサックがダメになればメーカー修理に出すのが本筋なのでしょうけれど、お金がかかったりすると嫌ですし。)

(5)総評

 木製キャップとブルーの胴軸とが独特の雰囲気を醸し出している美しい万年筆だと思います。手持ちの中でも、1、2を争うほど気に入っているデザインです。首軸の多少の段差さえにならなければ、快適に筆記できると思います。

 EEFという国産並みの細字ということで、とても使用頻度の高い万年筆となっています。

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※スペック一覧

・重さ 全体:40.5g キャップ:21.5g キャップなし:19g
・長さ 全長:14.1cm キャップなし:12.7cm 後尾にキャップ:16.2cm
・太さ 首軸最小径:11.5mm 首軸最大径:13.5mm 胴軸最大径:15mm 胴軸最小径:10mm キャップ先端:16.5mm キャップ後端:14mm

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万年筆 / 感想・レビュー (外国産)」カテゴリの記事

コメント

 ボディの色が違うんですね。実物見たことが無かったので
気づいていませんでした。
 デルタのボタンフィラーは、ロス・ボラッチョスを持っていますが
確かに硬いです。軸が太いので、ぐっと握れるからまだしもですが…

 ガチニブとか柔ニブって、どんな違いなのか、まだ判りません。
筆圧は低いですが速書きする方なので、紙への当たりが柔らかければ
それで問題無いので(汗)
 エラボーは、私の書くスピードに追いつかなかったので、書き心地は
ともかく候補になりませんでした。

 ふと、手元のデルタのペンを見てみると
 ブルーグロット(一応吸入式) エンリコカルーソ(レバーフィラー)
ロスボラッチョス(ボタンフィラー)ドルチェビータミディアム(両用式)
 機構は、一式揃ってしまってました。

投稿: まっきい | 2010年11月 9日 (火) 11時53分

クリップがボースンコール(呼笛)なんですね。
面白いしとても凝ったつくりですね。

投稿: はるま蓮 | 2010年11月 9日 (火) 21時40分

 >まっきい さん

 そうなんですよ。ゴムサックの耐久性を考えると両用式を購入した方が実用上はいいのですが、黒軸があまり好みでない私なので、価格は高くてもボタンフィラーの方にしました。まっきいさんのデルタ万年筆もボタンが固いですか。これはデルタの特徴かもしれませんね。手持ちのマーレンが柔らかいので、その差に驚いているところです。

 ニブの柔らかさは定義が難しいですね。「物理的に柔らかい」ということと、「タッチが柔らかい」ということが混ざって語られることが多いですので。パイロットのS系ニブなんかが、柔らかいニブの代表格かなと思っています。エラボーの柔らかさは独特ですよね。筆圧をかけなければ普通に硬い書き味なのですが、一定のレベルを超えるとしなるという、ちょっとややこしいニブだと感じています。私も使いこなせているとは言い難いです。

 ブルーグロットをお持ちとは素晴らしいです。私も欲しい買ったのですが、価格的に手が出ませんでした。あれはとても美しい万年筆だと思います。私は後はレバーフィラーとインキ止め式を手に入れれば、吸入方式は全制圧なのですが、この二つはなかなか制圧困難です。

投稿: EF Mania | 2010年11月10日 (水) 01時59分

 >はるま蓮 さん

 クリップは何をモチーフにしているのか知らなかったのですが、呼笛なのですね。実用上はどうなのか分かりませんが (私は胸ポケットに挿しません(^^;)、凝っていていい雰囲気です。

投稿: EF Mania | 2010年11月10日 (水) 02時01分

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