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セーラー 「プロフィットFL」 を入手

 セーラーのプロフィットFLを購入しました。このプロフィットFLは、首軸が金属で作られており、重心がペン先側にある独特な万年筆です。重心バランスが中央付近やリアヘビーの万年筆は多いのですが、こういうフロントヘビーの万年筆は珍しいです。

 さて届いた万年筆を使って長文筆記などをしてみましたが、思わぬプラス面とマイナス面があって、興味深い一本でした。はっきり言うと「癖のある」万年筆だと思います。

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■筆記バランス

 まず最初の第一印象は「なんじゃこりゃ?」というものです。とにかく、今まで使ってきた万年筆とは全く異なる筆記感があって、驚いたというのが正直なところです。私は万年筆を寝かせて筆記しないこともあって、基本的にはリアヘビーは大嫌いです。ただそれでも、フロントヘビーが生み出す独特の筆記感にはなかなか慣れませんでした。最初の数日はとにかく慣れるのに苦労した感じです。

 しばらく使用すると、この筆記バランスの扱い方もわかるようになり、独特の筆記感もおもしろく感じるようになりました。私は万年筆愛好家ですから、「筆記感が他とは違う」というだけで楽しいです。同じような万年筆ばかりを使っていたのではつまりませんし。

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 そして売り文句の大量筆記向きかといえば、なかなかそうはいえないんじゃないかと思います。とりあえず数万字ぐらい筆記して、腕がかなり疲労してきたときに使いましたが、そういう状況では、「フロントヘビーであることの扱いやすさ」よりも、「25.5gあるという重さ」の方がクリティカルです。25.5gは重い万年筆とはいえませんが、8時間以上筆記し続けるぐらいの状況ですと、腕はとにかく1グラムでも軽い万年筆を求めます。そういう状況ですと、ノーマルのプロフィット21の方が疲れにくいです。

 人によって感じ方は違うとは思いますが、私にとってはこのプロフィットFLは、大量筆記のためというより、普通とは異なる筆記感を楽しむためのものという位置づけです。そうした観点からは、購入して良かったと思います。ただ、大量筆記に役立つかもという事前の期待は、少し外れました。ただ、数ヶ月するとまた印象が変わる可能性はあると思います。

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 というわけで、このプロフィットFLは、万年筆をあまり持っていない方に無条件で勧められるかといえば微妙ですね。あまりにも独特の筆記バランスですから、普通の軽い万年筆の方が誰にも合うという点で無難かと思います。この万年筆は、ありきたりの万年筆では飽きたというヘンな物好きの万年筆愛好家用という気がします。

■滑りやすい

 というわけで、独特の筆記バランスについては面白く使えているのですが、意外な落とし穴がありました。それは胴軸の滑りやすさです。胴軸はマット処理されていて、つや消しブラックとなっています。今まで私はマット軸を持っていないこともあって、このマットブラックは非常に気に入っています。ところが、この胴軸は乾燥肌の私にはとても滑りやすいということが発覚しました。

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(※遠近法で奥のプロフィット21の方が小さく見えますが、両方は同じ大きさです。)


 私はネジ部分を持つのですが、指の半分ぐらいは胴軸にかかります。その部分が滑るために、万年筆をがっちりホールドできず、扱いにくく感じるのです。私がこの万年筆を使い始めの頃は非常に使いにくく感じたのですが、その理由の半分は、この滑りやすい胴軸のせいでした。

 これは参りました。いくら気に入った外観とはいえ、使いにくくては意味がありません。仕方がありませんので、他のセーラー万年筆に胴軸を入れ替えて使っています。幸いなことに私は互換性のある軸を大量に持っています。ですので、「マーブル・エボナイトFL」「プロギア モザイクFL」「グランザスネオFL」という形で使っています。これらの胴軸なら滑りやすいということはありません。

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 それにしても、マット軸と私とは相性が悪いというのは思わぬ発見でした。もちろん、すべての人がマット軸で滑りやすく感じるということはないと思います。私は極度の乾燥肌で、どう絞っても手からは油分が出てこないという肌質の持ち主ですので、他の方なら同じようには感じない可能性もありますですので、滑りやすさについては試筆して確かめられるのがいいと思います。

■総評

 このプロフィットFLは、いろいろな意味で独特な万年筆でした。この一週間はこのじゃじゃ馬に振り回された感があります。ただ、フロントヘビーのバランスにも慣れ、胴軸変更で滑りやすさの問題も解決できた今では、面白い万年筆として楽しく使えています。ただし癖がある万年筆という印象は変わっていません。

 普通ではない癖のある万年筆ですから、万人には勧めにくいのですが、ヘンな万年筆が好きな愛好家なら購入してみても良いのではないでしょうか。

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※スペック一覧

・重さ 全体:25.5g キャップ:8.5g キャップなし:17g 首軸:11g

・長さ 全長:14cm キャップなし:12.3cm 後尾にキャップ:15.4cm
・太さ 首軸最小径:10mm 首軸最大径:11.5mm 胴軸最大径:13mm 胴軸最小径:7mm キャップ先端:16mm キャップ後端:7mm

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万年筆 / 購入・海外通販」カテゴリの記事

コメント

フロントヘビーという点では、先日購入したプラチナ18Kスタンダードが気に入っています。
依然、EF Maniaさんが「細字で日本語を一番綺麗に書けるのは、プラチナ」と書かれていたので気になっていたところで18Kスタンダードを見かけたので購入してみました。
キャップ込みでペン本体は21.0gですが、首軸+コンバータ+インクで11.0g、胴軸が3.0gと同軸がかなり軽いためキャップを後ろに付けないスタイルでは快適に持てます。
キャップが7.0gあるので、キャップを後ろに付けると途端に後ろに引っ張られる感じがします。キャップを付けることで重心が変わり、後ろ側を持ちたい場合にはちょうど良いバランスになります。

投稿: たかだ | 2011年1月 9日 (日) 00時23分

 >たかだ さん

 18Kスタンダードのレビュー、ありがとうございます。私は14Kスタンダードは持っているのですが、18Kの方は持っていませんので、気になっている一本です。14Kと18Kではかなり筆記感が違うという噂も聞いていますので、いつかは手に入れたいです。とても軽い万年筆ですし、そういう用途にはバッチリそうです。
 ただレギュラー品だけに、限定品などに比べると、購入が後回しになっています。私はフロントヘビーが好きですので、おそらくキャップはつけない方が使いやすいと想像してます。

投稿: EF Mania | 2011年1月 9日 (日) 00時39分

お持ちということなら14Kスタンダードのレビューをお願いしたいです。私も近いうちに買いたいとは思っていますが金属軸のBelAgeが14Kの似たようなニブなのでまだ手が出ていません。
私が手に入れた18Kスタンダードは細字はかなりインクフローが渋く、一画目はインクが出てこないくらいですが、太字はだくだく出る感じで面白いです。

投稿: たかだ | 2011年1月10日 (月) 00時54分

 >たかだ さん

 了解です。ただ、14Kスタンダードは18Kと異なり、ペン先が柔らかいといった特徴もありませんので、普通の実用ペンとしてあまり驚きの情報などはないと思います。18Kスタンダードをお持ちでしたら、似たような14Kスタンダードを続けて購入されるよりも、他のモデルの方が違いがあっていいかもしれません。

投稿: EF Mania | 2011年1月10日 (月) 21時32分

ありがとうございます。
自分の手で14Kスタンダードを試したくもあり、14Kのニブはすでにあるので別のモデルに手を出したくもあり、どちらを選ぶにしてもあと一押しが欲しいところでした。
blogにて、カスタム74、プレラ、プロフィット、ハイエースといった定番モデル、廉価モデルのレビューもありましたからプラチナの定番兼廉価モデルのレビューがあると資料的価値も増すと思います。
# と、とって付けたような理由を……

投稿: たかだ | 2011年1月10日 (月) 21時50分

 >たかだ さん

 基本モデルのレビューももっと充実させなければ、とも思っているのですが、他に書きたいことがあるとそちらを優先してしまって、ついつい遅れ気味になっています。(^^; 14Kスタンダードはコストパフォーマンスは最高なのですが、もう少し軸がカラフルだといろいろ選べていいのですけれどね。

投稿: EF Mania | 2011年1月11日 (火) 22時54分

ペンドクター・川口明弘さんのプロデュースということだったと思いますが、この3月末で退社されていたのですね。万年筆にふたたびはまって、この2年間、お世話になりました。昨年の秋、ホスカルのシルバーを調整していただいたのが最後となりました。http://www.sailor.co.jp/event

投稿: ねこ太郎 | 2012年4月14日 (土) 14時19分

はじめまして、私も万年筆大好きな一人です。中でもセーラーがお気に入りでプロフィットの長刀太字とスタンダードの中字をはじめショートタイプも21金ニブを数本持ってインクは極黒と墨青のボトルで顔料主義です。
仕事にも手紙にも活用しています。30年間ほどパソコンのワープロで印刷した手紙や案内文を書いていましたが、2年前から顔料インクの登場で万年筆にインクが入り、次々に増えて今では15本ほど使っています。
ペンの自重で書ける万年筆の書き味は最高のものです。ね

投稿: ベンベンベン | 2014年1月25日 (土) 12時17分

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