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パイロット 「エラボー (メタル軸Ver.)」 のレビュー

 パイロット「エラボー」の金属軸バージョン、SEFです。パイロットのエラボーは初期のモデルは樹脂軸でしたが、新しく金属軸のモデルが発売されました。購入から遅くなりましたが、この新モデルをレビューしたいと思います。なお、初期のような樹脂軸も新たに発売されます。

 →パイロット  エラボー 万年筆(高級万年筆の文栄堂)

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(1)ペン先

 エラボーのペン先は中央部が大きく湾曲しています。海外ではこのエラボーは「ファルコン(Falcon)」という名前で販売されています。その名前の通り、ハヤブサのくちばしやかぎ爪を思わせる独特な形状です。

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 この独特な形状から醸し出される筆記感もまたユニークです。どちらかと言えば柔らかいニブなのですが、パイロットのS系ニブとは異なり、弾力が一定ではないのです。つまり、ある程度力をかけるまではニブはしならず、一定以上の力を入れるとニブの中央部からクッとしなる感じです。こういう筆記感は他の万年筆ではなかなか味わえません。

 そうした独特のニブ特性ゆえに、かなり趣味性の高い万年筆だと思います。使いこなすにはある程度の慣れや技量が必要です。ですので、万年筆を使い始めの人には少し薦めにくいです。ある程度いろいろな万年筆を使ってきたマニアの「遊びで使うちょっと変わった万年筆が欲しい」という要望に応えるための万年筆だと言えるでしょうか。

(2)筆記線

 エラボーは弾力のあるニブだけに、力を加えると切り割りが開き、線が太くなります。この特性を利用すれば、線に抑揚がつけられますので、日本語特有の「止め」 「はね」「払い」の表現が可能です。…というのがパイロット公式サイトでも説明されていることです。

 →日本語に適した万年筆エラボー (パイロット公式サイト)


 その説明には確かに納得できる面もあるのですが、ではこのエラボーを使えば誰でも美しく日本語を書けるかと言えばそうでもないと思います。この弾力のあるニブを使いこなして思い通りに抑揚のある線を引くというのはかなり難しいです。実際、私は使いこなせてません。ですので、あまりこのエラボーに過剰な期待をしすぎない方がいいかもしれません。筆で綺麗な文字を書くのに修行が必要なように、このエラボーも使いこなしにかなりの慣れが必要だと思います。

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 なお、私は細字好きだけに SEF を購入しましたが、これはちょっと失敗だったかもしれません。細すぎるために、あまり大きく線の抑揚がつかないのです。このエラボーの場合はその特徴ゆえに、ある程度太字を購入した方が面白いのではないかと思います。

(3)筆記バランス

 金属軸だけに29gと重めです。樹脂軸のカスタム74が17gですから、かなり筆記感は違い、重さを利用して筆記するという感じです。ネットを見ると、旧エラボーの方が使いやすかったという声も、今の方が好きという声も両方あります。ペン先が独特な性質を持ちますから、試筆するなどして、自分に合った方を選ばれると良いでしょう。

 重心位置は標準的で、特に使いにくいということはありません。キャップを後ろに嵌めても嵌めなくても、どちらでも使えます。

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(4)外観

 軸のラッカーは、深みのある色でとても綺麗だと思います。キャップリングやクリップはかなりシンプルですね。シルバートリムということもあって、機能的デザインでクールだと思いますが、少し味気ない印象はあります。この辺りは好みが分かれるところでしょうか。

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(5)その他

 このエラボーはカスタム74などに比べると首軸がかなり長めです。普通に持つと指がネジに当たって痛いという方でも、これなら安心です。(※もちろん逆パターンもあり得ますが。) 私はほとんどの万年筆でネジ付近を持ちますので、こうした首軸の長い万年筆が増えてくれると嬉しいですね。

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 この首軸の長さのせいで、カスタム74系列とは首軸交換は少し難しいです。ただそれでも私は時々交換して楽しんではいます。

 →エラボーにカスタム74の胴軸を装着して使う

(6)総評

 他にはない独特なペン先を持ち、面白い筆記感を求めている人の期待に応えられる万年筆です。ただそれだけに扱いは難しく、期待はずれに終わる可能性もあります。ですので、可能であれば試筆してから購入された方が良いでしょう。もちろん、万年筆マニアの方ならコレクション目的で購入するのもアリでしょう。

 現行のエラボーは金属軸ですが、新しくカラフルな樹脂軸バージョンも出るようですので、軽い方がいいという方はそちらを購入されると良いでしょう。

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※スペック一覧

・重さ 全体:29g キャップ:14g キャップなし:15g
・長さ 全長:13.8cm キャップなし:12.6cm 後尾にキャップ:15.7cm
・太さ 首軸最小径:9mm 首軸最大径:11mm 胴軸最大径:12mm 胴軸最小径:9mm キャップ先端:13mm キャップ後端:10mm

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コメント

私は先日発売されたばかりの樹脂軸のエラボーのFを買いました。樹脂軸だとEFはないようで。

パイロットの宣伝から受けるほどの柔らかさはないかな?と思いながら使っていました。が、書かれた文字を見ると字の抑揚がはっきり出ているな、という感じです。
それを自在に出来ればいいのですがまだまだ難しそうです(^^;

投稿: チトフ | 2011年6月 7日 (火) 10時00分

 
 エラボーが出た時に、一通り試し書きさせてもらいました。
ゆったり書く分には問題無かったのですが、普段のペースで走り書きすると
ペンが柔らかくしなるせいで、描線が、ー・ー・という感じに、途切れ途切れに
なったもので購入には至らずです。

 ペン自体は、とてもいいものでしたが…ちょっと残念でありホッとした記憶が…

投稿: まっきい | 2011年6月 7日 (火) 11時40分

 >チトフ さん

 なるほど気がつきませんでしたが、樹脂軸はSEFがないんですね。やはりここまで細いのを求める人は少数派なのかもしれません。
 エラボーは本当に不思議な感覚ですよね。硬いと言われれば硬いですし、一方で柔らかいと言われれば柔らかい。うまく扱えればいい感じの文字が書けそうです。ただそこまで到達するのが難しそうですが。(^^;

投稿: EF Mania | 2011年6月 9日 (木) 06時06分

 >まっきい さん

 確かに速書きでうまく書くのは難しいです。ゆったりと文字を書く人向けでしょうか。私はどうしても早く書こうとしてしまう傾向がありますので、その癖を直すのが先なのかもしれません。

投稿: EF Mania | 2011年6月 9日 (木) 06時11分

失礼します。
EF、神奈川では普通にありましたが。
使い勝手と書き心地から、Fを選びました。
細字なら軽い樹脂版、太字では金属軸が気に入っております。

投稿: 蓮覇fe500rs | 2011年6月10日 (金) 20時25分

 >蓮覇fe500rs さん

 樹脂軸のエラボーにも、SEFもちゃんとあるんですね。考えてみれば、首軸から先は同じようですので、ラインナップを変える必要はないのかもしれませんね。
 太さの他に、そのときの気分や、大量筆記するかどうかで、気に入る万年筆の重さは変わってくる気がします。そんなときは、たくさん万年筆を持っていると、最適な万年筆を選ぶことができて便利です。(^^;

投稿: EF Mania | 2011年6月12日 (日) 22時55分

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