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プラチナ 「ギャザード」 のレビュー

 プラチナ「ギャザード」の赤軸、Fニブです。

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 →プラチナ ギャザード#3776 万年筆 (オフィスワン北浜店)

(1)位置づけ

 ギャザードはプラチナのスタンダードラインの一つです。#3776と比べると、軸がやや太くて長く、嵌合式の万年筆です。

モデルニブキャップ価格特記事項
#3776バランス #3776 ネジ式 1万円 軽量・細軸
#3776センチュリー #3776 ネジ式 1万円 スリップシール機構
ギャザード #3776 嵌合式 2万円 ギャザード軸
プレジデント プレジデント ネジ式 2万円 大型・太軸
セルロイド #3776 ネジ式 3万円 カラフル・柄軸
ブライヤー #3776 嵌合式 3万円 木軸

 →プラチナ 「#3776 本栖」 のレビュー
 →プラチナ 「#3776 バランス」 のレビュー
 →プラチナ 「プレジデント」 のレビュー

(2)筆記バランス

 ギャザードの中央部には重りとなるリングがあり、特にキャップを後ろにポストするとリアヘビーのバランスとなります。万年筆を寝かせて書くタイプの人に合っていると思います。ただキャップをささないと、バランスは標準的になりますので、私はキャップはささずに使っています。

 首軸は長めで、嵌合式だけにネジ切りもありません。ですので「ネジ式の万年筆ではネジが指に当たって痛い」という人にはピッタリの万年筆だと思います。私のこの首軸部分の仕様は大好きです。

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(3)ペン先

 ペン先は#3776ですので、安心の書き味です。近年#3776本栖とセンチュリーが発売されて、リニューアルされました。今のところギャザードは旧仕様の#3776ニブですが、新仕様に変わるのかどうか気になるところです。新仕様のギャザードも悪くないですが、旧仕様のままで使い分けするのも悪くなさそうです。どうなるのかは分かりませんが、展開を見守っていきたいところです。

 キャップが嵌合式ということもあって、ペン先は少し乾きやすい傾向があります。ただ一週間ぐらい放置しても書き出しかすれが生じることもなく、実用上は問題ありません。

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(4)その他

 胴軸のギャザード加工は滑り止めの役割を果たしているそうですが、私は首軸を持つこともあって、恩恵を感じたことはありません。このギャザード加工ですが、昔は手作業でろくろで挽いていたそうです。ただそれではコストがかかりすぎるということで、今は樹脂成形になりました。私の持っているのも樹脂成形されたものだと思います。

 キャップ上面のデザインは好きです。ただこの赤軸はあまり好みではありません。私は基本的には黒軸は好みではないのですが、このギャザードに関してだけは、黒軸の方が雰囲気があって良いと思います。

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(5)総評

 嵌合式で首軸部分に段差やネジ切りがないため、とても扱いやすい万年筆だと思います。#3776本栖とセンチュリーが出てくる前は、プラチナの中で最も好きな万年筆でした。今でも、センチュリーとは別の長所がたくさんあって優れた万年筆だと思います。

 胴軸のギャザード加工は好き嫌いが分かれるかもしれませんが、#3776系列を購入する場合は検討対象に十分入る万年筆だと思います。1万円高くなりますが、ブライヤーも似たような仕様ですので、そちらも併せて検討するのも良いでしょう。

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※スペック一覧

・重さ 全体:21.5g キャップ:9g キャップなし:12.5g
・長さ 全長:14.1cm キャップなし:12.6cm 後尾にキャップ:16.1cm
・太さ 首軸最小径:9mm 首軸最大径:11.5mm 胴軸最大径:13mm 胴軸最小径:9mm キャップ先端:14mm キャップ後端:12mm

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万年筆 / 感想・レビュー (国産)」カテゴリの記事

コメント

 おはようございます。

 この仕様は黒軸の方がお好き、とのことですが、「ろくろ挽き」時代の、さらに旧型ギャザードの赤軸はもっと渋い色で、ペン先の形状といい、なかなかいいですよ。

 ところで、表中「旧型#3776」は、もしかして「#3776バランス」のことでしょうか?#3776のコレクターにとっては、「旧型#3776」というと「初代#3776ギャザード」を指すことが多いと思いますよ。

投稿: しまみゅーら | 2011年9月19日 (月) 07時14分

管理人ではないですけど、おそらくそうです。(#3776バランス)私は一度#3776バランスを購入検討したことがあって、そのとき「鉛筆みたいな書き味」と言われました。#3776旧型は書き味が悪かったようですので、そうだと思います。

投稿: mituno235 | 2011年9月19日 (月) 10時28分

 >しまみゅーら さん

 確かに#3776はさらに前の世代もありますから、ちょっと紛らわしかったですね。ご指摘ありがとうございます。紛らわしくないよう、訂正しておきました。

 写真でしか見たことがありませんが、旧世代の#3776ギャザードは良いモデルそうです。ただあれを現代に復刻しようとすると、かなりの価格になってしまうでしょうね。(^^;

投稿: EF Mania | 2011年9月19日 (月) 11時02分

 >mituno235 さん

 #3776ニブはインクフローが少ないこともあって、鉛筆っぽい書き味と言われることが多いです。本栖/センチュリーになって、その書き味が薄れたことについては、賛否があるみたいです。どちらもそれぞれ違う良さがありますから、難しいところです。

投稿: EF Mania | 2011年9月19日 (月) 11時04分

私にとって、国産の難点は手に合わないことです。ゆえにM400のEFを縦書きに、146のFを横書き常用しています。

年賀状等の一言はさすがに丁寧に書くよう心がけているので、#3776セルロイド、モリタオリジナルプロフギアを使いますが、手に負担がかかるようです。

ギャザードはどうなんですかね・・・以前からすごく興味のある軸。

投稿: だらだらと | 2011年9月19日 (月) 21時43分

ギャザードは中字・細字の2本を持っています。
あいにく2本ともハズレ個体でインクが全くでないか、出ても極細の点線状態だったのですが調整でフローが改善し、カート一箱くらいを使いきったあたりで書き味も良くなりました。

ただ中字の方は長年メインで使っていたのですがキャップリングが脱落したあげく、キャップ本体が割れてしまったので引退させることになりました。

細字の方はキャップ内側のリングの安定が悪く、尻軸に挿そうとするとキツかったりユルかったりと収まりが悪い状態が続いています。適正な位置にしても使っているうちにズレてくるらしく……

なんだかんだで苦労が多い万年筆なのですが、使用中のバランスや筆記感覚が素晴らしいので愛用品になっています。センチュリーニブでギャザードが出たら間違いなく買うと思います。

投稿: 猫柳 | 2011年9月20日 (火) 19時05分

 >だらだらと さん

 #3776のセルロイドが手に合わないようでしたら、たぶんギャザードもダメだと思います。ある程度細さを求めないなら、ある程度ペン先の接地面積がある舶来万年筆の方が書き味が良いと思います。私の場合は、細いことが大前提ですので、書き味に対しては多少は妥協します。

投稿: EF Mania | 2011年9月23日 (金) 19時34分

 >猫柳 さん

 2本とも外れ個体とは不運でしたね。プラチナは元々インクフローが渋めですから、その影響もあったのかもしれませんね。ギャザードについてはインナーキャップのトラブルをよく聞きますので、扱いには少し注意を払っています。

 ギャザードのセンチュリー化は私も期待しています。スリップシール機構の導入は難しいかもしれませんが、センチュリーニブの導入は比較的容易そうなので、大いに期待しています。

投稿: EF Mania | 2011年9月23日 (金) 19時38分

こんばんは。ご無沙汰しております。
日本滞在中に購入を検討しましたが、結局見送りました。後悔していた矢先にセンチュリーが出たので、一安心です。
私もギャザードのセンチュリー化に期待しています。ネジ式嵌合でないのが気にかかりますが。

投稿: ヘンリー | 2011年9月25日 (日) 18時31分

ギャザード、というか勘合式ならスリップシールではなくてプレピーの仕組みでいいのだと思います。

投稿: たかだ | 2011年9月25日 (日) 20時24分

 >ヘンリー さん

 ギャザードがセンチュリー化すると、私は黒軸の方を買おうかと悩んでいます。あと、中屋も新ニブになるのかどうかが気になるところですね。今度メールで問い合わせてみようかな。

投稿: EF Mania | 2011年9月26日 (月) 01時14分

 >たかだ さん

 確かに言われてみればそうですね。全然気がついていませんでした。(^^;
 だとすると、結構スリップシール化は容易かもしれませんね。

投稿: EF Mania | 2011年9月26日 (月) 01時20分

はじめまして、いつもブログを拝見させていただいているうちにすっかり万年筆フアンになってしまいました。昨年は自分でかったりもらったり…いつのまにか6本の万年筆を所有するように…。
 プラチナギャザードの記事を拝見していつか使ってみたいものだ、と思っておりましたらひょんなところから中字を手に入れることになりました。いままでメインで使っていたのがカスタム74のFと#37776の細軟でしたのでプラチナの細字だと細すぎるから中字と思ったのですが…
 さっそくインクを入れて書いてみると…あれ?これ太字?と思うくらいなかなかしっかりとした線が…。
 で、ルーペでペン先の刻印を見てみるとMとかかれておりました。たしか、以前の#3776表記は漢字でセンチュリーなどのシリーズからアルファベット表記になったみたいですが、もしかしたら新しいギャザードは新ペン先なのかも!?と思ってご報告しました次第です。
 ペン先が変わっただけで、スリップシールの機構は残念ながらありません(^^;

投稿: おとうちゃん | 2012年1月18日 (水) 22時58分

手元にはニブ上側に「14K 細」とだけ書いてあるものと、ニブ上側に「14K 細」、側面に「F」と書いてあるものがあります。
側面にも刻印があるものはプレピーの0.3並とかなり太めに書けますが、個体差なのか、全部そういうものなのか比べられないので判りません。

投稿: たかだ | 2012年1月19日 (木) 07時42分

 >おとうちゃん さん

 私もいろいろ調べてみたのですが、結局わからないままでした。コンバーターの仕様変更の件といい、もう少し情報提供があればいいのですが、なかなか手探りな感じですね。

投稿: EF Mania | 2012年2月12日 (日) 14時19分

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