調整・修理・改造・トラブル

万年筆をウェットティッシュで拭くことには、注意が必要

 私は手を拭いたり、PCのキーボードの汚れを取ったりするために、除菌や消毒できるウェットティッシュを使用しています。そうしたウェットティッシュはエタノールを含む製品が多いために、万年筆の軸を清掃する場合には注意が必要です。

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■アクリルとエタノール

 万年筆の軸の材質は、ABS樹脂やセルロイド、セルロース・アセテートなど様々です。いろいろある中、アクリル製の万年筆も多くあります。アクリルの場合は、エタノールで拭くのは厳禁です。ひびが入ったり曇ったりする恐れがあるのです。例えば、ペリカンの「ブルー・オー・ブルー」の綺麗な胴軸部は、アクリルブロックから削り出されて製作されているようです。

 →ペリカン 「ブルー・オ・ブルー (blue o' blue)」 を購入

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 材質がアクリル以外であることが分かっている場合であればいいのですが、メーカーが独自の名称で素材を呼んでいる場合もありますので、なるべくなら使わない方が無難でしょう。あるいは、アルコール未使用のウェットティッシュを使うと良いでしょう。

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胴軸内のOリングの重要性を再認識

 私はプラチナの「セルロイド八角」をかなり気に入って使っています。しかし使用するときに、胴軸が緩んでいることが時折ああることに最近気がつきました。セルロイド八角の胴軸の接続内部にはOリングがなく、それが原因で緩みやすいのだと思います。

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 →プラチナ 「#3776 セルロイド 八角軸 ミッドナイトオーシャン」 を入手

■細かい配慮

 プラチナの胴軸部にはOリングがありません。それに対してパイロットやセーラーの胴軸部にはOリングが装着されているモデルが多く、緩みにくくなっています。各社のすべてのモデルを調べたわけではありませんので、例外はあると思いますが、やはりOリングが装着されている方がありがたいですね。

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 ただ、胴軸が樹脂製の場合はあまり緩み問題は感じません。樹脂の柔らかさのために緩みにくいのだと思います。今回のセルロイド八角の場合は、接合部の両方が金属のために緩んでしまいがちなのでしょう。その都度締め直せばいいので大きな問題ではありませんが、できればOリングなどの工夫が欲しいかな、と思います。

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インクがピストンの後ろに回りやすいコンバーターは苦手

 私はいろいろなブランドのコンバーターを使っていますが、個人的な好き嫌いはあります。私が苦手とするコンバーターの特徴として、「インクがピストンの後ろに回りやすい」ということがあります。

 手持ちのコンバーターでそれに該当するのが、セーラーとウォーターマン、パーカーのコンバーターです。下のセーラーのコンバーターは、インクがピストンの後ろに回った状態になっています。

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■見た目の問題

 セーラーなどのコンバーターでは、気づくとインクがピストンの後ろに回っていることがよくあります。もちろん、使用する上で大きな問題が生じるというわけではないのですが、見た目や気分としてあまり気持ちのいいものではありません。

 ピストンの背後に回ったインクを洗おうと思えば、分解するか、あるいは回転軸の後ろにある空気穴から水を出し入れするしかありません。セーラーは分解が容易ですので、いつも分解清掃しています。それに対してウォーターマンやパーカーのコンバーターは分解が容易ではありませんので、後ろの空気穴から水の出し入れをする方式で洗っています。(※時々、空気穴のないタイプのコンバーターもあって、それが一番メンテナンスに困ります。)

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 コンバーターは日常的に使う部品ですから、もうちょっと精度を良くして欲しいところです。ただ、あまり気密性をよくしすぎると、ピストンの上げ下げが硬くなる恐れがあり、それを気にしてのことかもしれません。ただ、ピストンの上げ下げが硬くなっても、私はシリコングリスで対処しますので、気密性が高い方が好みですね。ただ、そういう対処をするのが一般的とは言えないのは確かですので、難しいところです。

 →"シリコンスプレー"で吸入機構のメンテナンス


 こうした問題について考えれば考えるほど、パイロットのCON-70はやっぱり優れているということを再確認します。CON-70はピストンの後ろにインクが回るという心配がなく、またメンテナンス性も高く、インクもたくさん入ります。攻防兼ね備えた無敵のコンバーターで、CON-70はパイロットが生んだ宝と言えるでしょう。

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カスタム823のインクタンク内のゴミが気になる

 カスタム823を使っていると、インクタンク内にいくつかのゴミがあるのを発見しました。これがコンバーターであれば、すぐに外して洗浄するところなのですが、カスタム823はプランジャー方式ですので、そういうわけにもいきません。使用する上で問題があるわけではありませんが、とても気になります。

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(※関連記事)
 →パイロット 「カスタム823」 を購入した

■意外とうまくいった

 このゴミは何なんでしょうね。インクタンクに塗られているシリコングリスの一部がはがれたものか、あるいはインクの塊、あるいは紙が削れてペン先から中に入ったというところでしょうか。放置しても問題なさそうですが、一時になり始めると、どうにかしたくなります。ネットを巡ると分解も不可能ではなさそうな感じですが、メーカー保証対象外になりますし、壊しそうで怖いです。かといってメーカー修理に出すほどでもありません。

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 方針が決定できないまま使用していましたが、もしゴミがペン先から入った紙くずであれば、逆も不可能ではないのでは、と思い至りました。そこで勢いよく水を出し入れして洗浄したところ、インクタンク内からゴミが吐き出されました。ペン先部には細い隙間しかありませんが、意外とうまくいくものですね。もしかすると二重ペン芯構造の部分からゴミが排出されたのかもしれません。これで気分良くカスタム823が使えます。

 →万年筆入門者に役立つ動画 & パイロットの二重ペン芯構造

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「オプティマ ソリッドシルバー」の黒ずみを綺麗にする

 本日、整理箱にしまった万年筆をチェックしたところ、奥の方に収納していた「オプティマ ソリッドシルバー」が無残な状態になっているのを発見しました。長く放置していたため、シルバーが硫化してすっかり黒ずんでしまっていました。銀軸万年筆の黒ずみは今まで何度も経験してきましたが、ここまでひどい状態に至らせてしまったのは初めてです。

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■液体クリーナー

 銀の黒ずみに対しては、いつもは銀磨き布を使って綺麗にしてきました。ただ今回は黒ずみの範囲が大きいことと、この万年筆は軸の表面に浅めの模様が彫られていることから、液体クリーナーを使用することにしました。液体クリーナーなら、模様が削れて消えてしまう恐れがありません。

 →ハガティー シルバークリーン 50ml (amazon.co.jp)

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 液体クリーナーを使った後の状態がこれです。私が使っているのは、東急ハンズで購入した「ハガティ シルバークリーン」です。この液体クリーナーを使うと、気のせいか少し表面の色が黄色っぽくなるように感じます。ですので、最後の仕上げに銀磨き布で軽くなでるように磨くことにしています。これで元のシルバーの輝きが戻りました。

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 シルバーはどうしても黒ずみ問題がつきまといます。一番の黒ずみ対策は、頻繁に使うことです。この「オプティマ ソリッドシルバー」は重量バランスが気に入っていますので、今後はもっと積極的に使っていこうと思います。

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智頭杉スタンダードの胴軸の金具が外れた

 インクのカートリッジを入れ替えようと智頭杉スタンダードの胴軸を外したところ、スポッと金具が外れてしまいました。突然のことで驚きました。一応、故障ということになるでしょうか。手持ちの智頭杉スタンダードは、嵌合式キャップの抜き差しが比較的かためで、その力が日常的にかかっていたことが原因かもしれません。

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 木軸と金具とはどういう仕組みでつながっているのかは、パッと見はわかりません。接着剤でしょうか。ただ接着剤の跡が見えないので確信が持てません。本来ならば、セーラーに 持ち込んで修理してもらうのが適切です。しかし、現役で多用している最中の一本ですので、修理の間に使えないのは痛いです。修理持ち込みは面倒でもありますので、接着剤か何かで接着して済ませようと思います。(^^;

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 (※関連記事)
 →セーラー 「智頭杉 スタンダード」 のレビュー

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プラチナ「セルロイド唐草」のペン先が、少し乾き気味

 去年にプラチナの「セルロイド 唐草」を購入し、気に入って使用しています。しかしこの万年筆は意外とペン先が乾く傾向があり、その点が残念です。インクが完全にドライアップしたり、書き出しでインクが出ない、といったほどではないのですが、1週間ばかり使わないと、インクが少し煮詰まって濃い目になってしまいます。普通、ネジ式でキャップを閉める万年筆の場合は、ペン先が乾燥傾向にはない場合が多いのですが、これに関しては例外のようです。

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 →プラチナ 「セルロイド唐草 沈プラチナ」 を購入した

■ペン先乾燥問題

 ペン先が乾き気味になる理由はいくつかあります。嵌合式の万年筆の場合はキャップを抜くときの負圧でペン先からインクが吹き出るおそれがあるため、意図的に気密性を低く設計している場合があります。そうした理由なら仕方がないと理解できるのですが、ネジ式の場合は気密性が高くあって欲しいと思ってしまいます。

 →ペン先からインクが出てこなくなる理由

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 この「セルロイド唐草」のペン先が乾き気味の理由は何でしょうね。

  • (1)個体差
  • (2)セルロイドに直接ねじ切りが彫られているため、精度が甘い
  • (3)セルロイドのネジ切りが壊れることを恐れて、強くキャップを閉められない

 こうした理由が考えられるでしょうか。セーラーの万年筆などですと、キャップを閉める最後の部分で少しずつ抵抗感が増して、キュッと確実に閉めることができます。しかしこの「セルロイド唐草」にはそういう感覚はないため、確実に閉めきれない感じです。実際、いざ使おうとするときにキャップが少し緩んでいるのを発見することがよくあります。

 この万年筆に関しては、そういう点も個性と思って使うしかないですね。プラチナ万年筆の場合、これからスリップシール機構がいろいろなモデルに普及していけば、こうした問題はなくなっていくかもしれません。

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アウロラのコンバーター破損を修復した

 以前にアウロラのコンバーターの口が割れたことを記事に書きました。コンバーターを買い換えようと思っていたのですが、割れた部分を見てみると、それなりに厚みがあるので修復できるのでは、と思い立ちました。というわけで、瞬間接着剤でくっつけてみたところ、うまく接着できて、再び使用できるようになりました。これで買い換えずに済んで、無駄な出費が避けられました。

 →コンバーターの口が割れてしまった

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■ハケ付き瞬間接着剤

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 使用したのは以前に記事に書いた、ハケ付きの瞬間接着剤です。前回使用したのが半年以上前です。構造的に空気に触れやすいため、「すでに中身が固まっているかも」と想像していましたが、問題なく使えました。ただ少し薬剤の弾力性が高まっていましたので、あと1年はもたない感じです。まあ100円ショップで購入したものですので、これだけ使えれば十分でしょう。

 →ボトル型のハケ付き瞬間接着剤を買ってみた


 割れた部分に接着剤を塗り、ペンチで30秒ほど挟んだところ、綺麗にくっつきました。割れた部分に多少の弾力性があったことが成功の一因だと思います。乾くのを待って使用したところ、問題なくインクを吸い上げました。これでしばらくは大丈夫でしょう。

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コンバーターの口が割れてしまった

 先日、アウロラの「イプシロン シルバー」のインクを吸入しようとしたところ、コンバーターがガタつくのに気づきました。調べてみると、コンバーターの口の部分が割れてしまっていました。これではインクが漏れる恐れがあり、買い換えが必要です。大きなダメージです。

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 (※関連記事)
 →Aurora 「イプシロン・シルバー」 のレビュー

■コンバーターの抜き差し

 今回のようにコンバーターの入り口が壊れたのは、実は二度目です。一つ目はウォーターマンのコンバーターで、このときはインクが胴軸内に盛大に漏れて、えらいことになりました。しばらくは、その原因がコンバーター入り口の亀裂だとは気がつきませんでした。

 こうしたコンバーターの故障を防ぐためにも、コンバーターはあまり頻繁に抜き差ししない方が良さそうです。ただ、洗浄するときにはどうしても外したくなるんですよね。コンバーターは本体に比べれば安いですので、ある程度覚悟の上で抜き差しするのもありでしょうか。もっとも、「ウォーターマンCF」のように、コンバーターが廃番の場合は大事に扱わないといけませんが。

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 コンバーターにはいろいろありますが、国産に比べるとヨーロッパ標準タイプのコンバーターは、構造的に壊れやすい気がします。口の部分が小さいですので、コンバーターを抜くときに、ひねりなどの余計な力が加わりやすいです。コンバーターの仕様という点では、国産の方が好きです。

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布張り万年筆が、不注意によりインクで染まってしまった

 今日、胴軸に布が巻かれた万年筆である「DAKS ハウスチェッククロス」を使おうと取り上げたところ、布にインクが盛大に付着しているのを発見しました。これはかなりショックです。いつどこで付いたのかはよく分からないのですが、布だけにどう洗浄しようか思案中です。

 →DAKS 「ハウスチェック クロス」 のレビュー

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■布張り万年筆

 それなりに気をつけて取り扱っていたのですが、購入してからかなり経つので、油断していたようです。そもそも、インクがつく前にも経年劣化でかなり汚れていましたので、そろそろ何らかの方法で洗う時期になっていたとも言えるでしょうか。ただこれをどう洗えばいいのか思案中です。やはり柄が色落ちしないよう、洗剤は使わずお湯だけで洗うのが無難かもしれません。それできっちりインクが落ちればいいのですが。


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 今回、インクが付着したのは、万年筆の扱い方にも問題があったと思います。私は数多くの万年筆を100円ショップのトレイにガチャッと積んで、いつでも好きな万年筆を取り出せるように配置しています。また使った万年筆も本革デスクマットの横に放置することが多く、そのときにキャップを外したままのペン先と接触した可能性が高いです。使い終わった万年筆はすぐにトレイに戻す癖を徹底しなければいけませんね。

 →現在のデスク環境の写真
 →トレイの前面を透明にして見やすくした

desk photo


 布張り万年筆としては、ナガサワの「Savile Row (サビル・ロー)」がありました。あの万年筆も使用にはかなり気を遣いそうな感じです。

 →NAGASAWAオリジナル 「Savile Row(サビル・ロー)」 が発売に

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